割引など安さに目がない…“金銭的お得度”重視なら「コード決済アプリ」
まず、金銭面のおトクさを重視するなら、どのキャッシュレス決済がおすすめだろうか。“現時点”で考えれば、「PayPay」「LINE Pay」「楽天ペイ」「メルペイ」「d払い」「au PAY」など各サービスがしのぎを削っている「コード決済アプリ」ということになるだろう。岩田氏は、その理由について次のように分析する。
「私は、PayPayの『100億円あげちゃうキャンペーン』やLINE Payの『祝!令和 全員にあげちゃう300億円祭』など、巨額の原資が投入されるキャンペーン合戦は、来年春頃まで続くのではないかと見ています。
なぜなら、経済産業省が旗振り役となって今年10月から実施する『キャッシュレス・消費者還元事業』が、来年6月で終了を予定しているからです。この『キャッシュレス・消費者還元事業』とは、今年10月からの消費税率引き上げで消費が冷え込まないように対策する事業です。これは事業の一例ですが、中小企業などが運営する店舗がキャッシュレス決済の導入で負担する端末導入代金や加盟店手数料を、政府が大幅に補助してくれるというものです。つまり、『コード決済アプリ』を運営する企業側からするば、来年6月までは『キャッシュレス・消費者還元事業』に便乗して、加盟店になってもらうための営業をかけやすくなるのです。
つまり、『コード決済アプリ』の運営企業からすると、来年6月までが加盟店のシェアを広げる勝負どき。そのため、事業終了までは現在のようなキャンペーン合戦が続くのではと予想できるのです」(岩田氏)
岩田 昭男(いわた・あきお)
SNSや情報メディアリテラシーが専門。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆 、監修、講演などを手がける。『あさイチ』『ホンマでっか!?TV』などメディア出演 多数。近著に『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)。
公式HP「上級カード道場」/Twitter
岩田氏の予想通りならば、来年6月までという期限つきではあるが、「コード決済アプリ」運営企業各社が巨額原資投入のキャンペーン合戦を続ける可能性が高い。また各サービスとも、ポイントの高還元率を競い合っている。とにかく金銭面のおトク度を重視したいなら、「コード決済アプリ」がおすすめといえる。
ただ、「PayPay」「LINE Pay」「楽天ペイ」などの複数のサービスが新規参入している現状では、今後どのサービスがどんなキャンペーンを打って出るか分からない。おトクなキャンペーンをとことん享受するならば、まだひとつのサービスに絞るのではなく、複数を併用していいだろう。
一本化するなら…“広範囲対応度”重視の「クレジットカード」
ただし、「コード決済アプリ」は、サービスによって使える店舗が限定されるため、店舗によって使い分けなくてはならず、この手間を面倒に感じる方も少なくないはず。そこで、せっかくのキャッシュレス決済をシンプルにしたいという方におすすめなのが、「VISA」「MasterCard」「JCB」などがおなじみの「クレジットカード」であると、岩田氏は言う。
「現金主義者がいまだに多い我が国ですが、日本におけるキャッシュレス決済の約9割は『クレジットカード』による支払いです。この数字は、『コード決済アプリ』や『電子マネー』などから紐づけられて決済されたケースを含んだものだと思われますが、いずれにしてもキャッシュレス決済の王者は、今なお『クレジットカード』であることは揺るぎない事実でしょう。実際に、コンビニでもスーパーでもレストランでもクレカ払いをできるお店はかなり多いですし、もちろんネットショッピングでも使えます」(岩田氏)
岩田氏が言うように、コンビニやスーパー、レストランだけでなく、今や多種多様なジャンルの店舗がクレカ支払いに対応しているのはご存知の通り。また大手チェーン店だけでなく、小規模チェーン店や個人店でも「クレジットカード」に対応している店舗数は多い。煩わしさを回避して支払いを一本化させるであれば、一枚(一種)で最も広範囲に対応する『クレジットカード』一択だろう。