オンキヨーは全体売上高の7割を占める事業を売却、オーディオ市場の限界

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オンキヨーグループ公式サイトより

 電機・エレクトロニクス業界において変貌を遂げてきた企業を紹介するシリーズ。今回は「オンキヨー」。前回の東芝と同様に、オンキヨーも「変貌を遂げてきた」という前向きの言葉で総括するには違和感がある。むしろ生き残るために「変貌を強いられた」という言い方の方が適切だろう。

 オンキヨーは日本を代表するホームオーディオメーカーだった。「ONKYO」ブランドのスピーカーを見たことがある人は少なくないだろう。

 しかし音楽を楽しむ環境が大きく変わり、ホームオーディオの専業メーカーはもはや生き残るのは難しくなった。パイオニアとクラリオンはともに車載用に転換、そしてパイオニアは香港投資ファンドの、クラリオンはフランスのカーナビ大手フォルシアの傘下に、それぞれ入った。そんななかにあってオンキヨーは、一時はホームオーディオ専業での生き残りを目指したが、やはりそれは厳しい道のりだったようだ。

主力事業売却後のオンキヨーには何が残る?

 オンキヨーは、今年5月に全体売上高のほぼ7割を占める「AV事業」をすべて売却することをついに決めた。米国サウンド・ユナイテッド(Sound United LLC)社と事業売却で合意したのだ。

 事業売却はよくある話だが、オーディオメーカーが全体売上高の7割を占めるオーディオ機器事業を売却するのである。オーディオメーカーとしての看板を下ろすのに等しい。

 6月26日開催予定の定時株主総会での承認を得て、実際の売却は7月1日付で実施される。オンキヨー&パイオニア(東京都墨田区)、オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン(東京都墨田区)の国内子会社2社の全株式についても売却され、オンキヨーから切り離される。マレーシアや中国上海の生産子会社もすべてではないが事業譲渡、連結対象子会社ではなくなり、オンキヨーグループから外れることになる。

 ではオンキヨーにはいったい何が残るのか? 今後はテレビなど家電や自動車メーカー向けのOEM事業と、モバイル機器向けヘッドホンなどのデジタルライフ事業が残る。家電、自動車、モバイル機器にスピーカーなどを供給する形で生き残りを目指す。

 ただ「ONKYO」のブランドは世の中に残る。オンキヨーが米国サウンド・ユナイテッドに使用を許諾する形を確保したため、自身では関与しないが、ブランドだけはかろうじて残ることになった。

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