ヤマト運輸ら宅配大手三社の「働き方改革」、しわ寄せが酷い?

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 宅配大手3社社員の残業問題は解消されたのかもしれないが、下請けの企業が割りを食うようでは、業界全体が抱えている根本的な問題は改善されていないように思える。

「自営業者は働けば働くほど稼ぎが良くなるわけなので、一概に労働時間を規制することが是とも言えないのでしょう。ホワイトカラーにも『残業ができないと手取りが減って生活ができない』という声がありますが、これと同じことですね。

 ただし、宅配業界の低賃金傾向は非常に問題があると考えています。北海道から鹿児島まで駆け巡り、一週間も自宅に帰れずに運送を行なう生活を続けても、年収が400万円ほどという人も多いのです。かつて、長距離ドライバーは映画『トラック野郎』(1975年から1979年にかけてシリーズ化)の菅原文太のように、激務でも高給というイメージでしたが、現状は見る影もないほどに低賃金になってしまっています。日本のトラックドライバーの賃金は世界ランキングでかなりの下位で、日本はアメリカの約半分ほどと言えば、その深刻さが伝わるでしょう。

 この低賃金構造が、自営業者の労働時間の長時間化に拍車をかけているのは想像に難くありませんし、それゆえに宅配業界への若者の参入数がどんどん下降しているという悪循環が起こっています」(花房氏)

宅配業界の慣例にストップをかけたヤマト運輸

 だが、こうした宅配業界の慣例や問題に改革をもたらそうとする動きもあると言う。

「給料アップにもつながる配送料金の値上げを訴え続けていたのが、『全日本トラック協会』(平成24年4月1日公益社団法人へ移行)だったのですが、経団連に所属しない組織だったこともあり、声としては小さく扱われてしまっていました。しかし2017年、大手のヤマト運輸が業界の値下げ競争に待ったをかけて、宅配料金のアップを宣言したのです。ネット通販大手のアマゾンからの“翌日配送・1件300円”といった要求に、耐えきれなくなったからという側面もあるでしょう。

 常に先陣を切るヤマト改革の例として、顧客が『値下げしろ!』と言えば黙々と従ってきた業界の慣例に逆らい、運送原価を明らかにして安全コストを主張して強硬交渉してきました。また、一定の範囲内で女性の配達員を登用したり、6時間勤務でトラックのドライバーを交代していくシフト制を導入したりしたことも挙げられます」(花房氏)

 宅配業界に変革をもたらすべく、ヤマト運輸が数々の英断を下していたということか。

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