上申書殺人事件~死刑囚の告発から法廷に出た「水戸の先生」

文=高橋ユキ
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 後藤良次は2000年7月から8月にかけ、通称『宇都宮監禁殺害事件』と呼ばれる事件を起こしている。体面を傷つけられたとして男を車内に監禁し、橋のたもとから落として殺害、その後、不義理を働いたとしてその男や知人ら4人を監禁し、ひとりに高濃度の覚せい剤を注射し死亡させ、他の者らに灯油を撒いて火をつけた。

 これらの事件で死刑判決を受けており、上申書を作成した時点では実際に上告中であった。さらにそれより前の1990年にも、群馬県館林市の競輪場街車券売場で稲川会系暴力団組長を射殺しているが処分保留で釈放されている。

 その凶暴性から地元の暴力団関係者の間でも「大前田の殺し屋」と恐れられていた後藤。対して、不動産や保険金など金の臭いのする人間を見つけ出す嗅覚に優れていた三上静男。このふたりが出会い、金のため人の道に外れた犯行を重ねた。

 だが結局後藤が提出した上申書に書かれた3件の事件のうち、立件できたのは3つめの保険金殺人のみであった。映画では電気屋だったが実際にはカーテン屋社長の男性、栗山裕さん(当時67歳)が被害者である。

 栗山さんはバブル後に会社の経営が傾き、当時6000万円以上の借金を抱えていた。長年の飲酒がたたり、肝硬変や糖尿病を患ってもいた。栗山さんの家族と三上は結託し、2000年の夏、栗山さんに対する保険金殺害計画を実行する。家族は栗山さんを三上のもとへ預け、三上は事務所に栗山さんを住まわせた。そこで後藤やその舎弟らが毎日栗山さんに酒を飲ませるなどして死亡させ、行き倒れに見せかけて遺棄した。

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