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取引先からのセクハラ被害、上司に「よくあること」と揉み消されたらどこに相談するか

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「Getty Images」より

 日本労働組合総連合会は先月、ハラスメントに関する調査結果を発表した。職場でのハラスメント被害を受けたことがあるとの回答は37.5%と4割近くにのぼり、そのうち「セクシュアル・ハラスメント」の被害は男性14.2%、女性37.7%だった。

 名誉棄損や侮辱、仕事の妨害やプライベート侵害など、ハラスメントは多岐にわたるが、いずれも仕事上の優位性を利用した嫌がらせだ。調査では、職場の上司からのハラスメントでは「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」が多く、同僚間では「隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し」が、そして取引先からのハラスメントで多いのは「セクシュアル・ハラスメント」だという結果も出ている。

 取引先や顧客からの嫌がらせは立場上とくに被害を訴えづらいケースが多い。東京都の運営する「TOKYOはたらくネット」では、労働相談Q&Aのページ上で取引先の社員からセクハラ被害を受けた際の対処法として、まず相手に拒絶の意思を明確に伝えることと社内の苦情処理体制を確認したうえで、「相手の行為に関する記録や証拠を残す」「社内において相談する」という対応を推奨。会社が事態の改善に動かない場合は、労働相談情報センター等への電話や来訪を促している。

 あらゆる労働問題の解決に取り組んでいるNPO法人POSSE代表の今野晴貴氏によれば、取引先の社員によるセクハラ被害はしばしば寄せられ、「セクハラ被害を自社に訴えたものの、取り合ってもらえず、相談に訪れる人が多い」という。社内で相談しても「よくあることだから我慢しろ」と抑圧され、挙句「あなたにも隙があるのでは」と二次被害に遭うケースまである。

 具体的なケースと対応について、今野氏に伺った。

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今野晴貴
NPO法人「POSSE」代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。年間3000件余りの労働・生活相談に関わる。また、相談事例から日本の労働問題について調査・研究、政策提言を行っている。著書に『求人詐欺』(幻冬舎)、『ブラック企業』(文春新書)、『生活保護』(ちくま新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)など多数。

セクハラが「よくあること」にされてしまう慣習

 今野氏のもとには、社内で被害を訴えても無効化されてしまったというセクハラ被害者の相談が少なくない数、寄せられるという。尚、NPO法人POSSEでは、女性からのセクシャルハラスメントの相談には、専門の女性スタッフが対応している。

今野氏「たとえばクリエイティブ系の会社に勤めていた20代の女性は、会議時に同席した取引先の関連会社の社員から、しつこく下ネタを言われたり、『この話の意味わかる?』『何カップなの?』と言われたという相談のケースがあります。明らかなセクハラです。

 また、悪質な性暴力被害を受けたにもかかわらず、『よくあることだから我慢しろ』と口をつぐまされた営業職の女性からの相談も、ひどいものでした。彼女は取引先の店舗で1人になったタイミングで、見計らったかのように取引先の社員からお酒を飲まされ、性的暴行を加えられました。被害を自社に訴えたものの上記のようにあしらわれ、より深い傷を負ったと話してくれたそうです。

 性暴力の被害者を自己責任だと責め立てることは紛れもなく“セカンドレイプ”で、ますます被害者の心を痛めつけます。取引先の社員からのセクハラ被害は、特にセカンドレイプを受けやすいという印象があります」

 セクハラや性暴力が「よくあること」だという現状を改善しなければならないはずだが、取引先とのあいだに上下関係がある場合、友好な付き合いを維持するために忖度する会社もあるのが実態だ。

今野氏「当然、取引先との間に上下関係がある場合、セクハラは起こりやすいと言えます。そもそも取引先との関係性を気にして被害を訴えられない社員もいます。被害者が自社に助けを求めても取引先に忖度して、まともに取り合わない会社もあります。

 ただ、忖度云々ですらなく、セクハラ被害の訴えに対応するのが面倒だからという理由で取り合おうとしない会社もあるので、必ずしもパワーバランスの偏りだけが要因とは言えません。なんにせよ、社員が助けを求めているのに放置する会社ということです」

 また、たとえば得意先への営業をする立場で、時間や場所、人数等を指定されれば断りづらいという社会慣習の問題は大きい。

今野氏「セクハラは1対1の密室空間で起きやすいです。取引先の社員から呼び出され、誰もいない会議室でセクハラ被害に遭ったというケースもあります。加害者がセクハラをやりやすい場に誘われた時に、断れない、『場所を変えませんか?』と意見することもできないという“立場の違い”も、やはり要因に挙げられます」

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