連載

『きのう何食べた?』が大好評の内野聖陽が、舞台でもフェロモン全開の面目躍如

【この記事のキーワード】
Erotic_Stage64a

化粧二題」2019年7月6日に横浜で追加公演

 劇場へ足を運んだ観客と演じ手だけが共有することができる、その場限りのエンタテインメント、舞台。まったく同じものは二度とはないからこそ、ときに舞台では、ドラマや映画などの映像では踏み込めない大胆できわどい表現が可能です。

 今期放送のテレビドラマの中でもっとも好評を博しているのは、テレビ東京系「きのう何食べた?」でしょう。ダブル主演の内野聖陽が、従来の硬派で男くさいイメージをくつがえすチャーミングなゲイ男性を演じ、演技力の高さを改めて実感したひとも多いはず。その演技力の礎にあるのも、舞台。老舗劇団の文学座でキャリアをスタートさせ技術を磨いてきた内野は、ホームである舞台で見ればさらに魅力的です。現在全国公演中の、こまつ座「化粧二題」は、文学座在籍時に気心の知れた同劇団所属の演出家、鵜山仁とのタッグによる一人芝居。男らしさあふれる姿の中に、ドラマで垣間見せるかわいらしさもうかがうことができます。

オスくさい魅力全開!

「化粧二題」は劇作家井上ひさしによる作品で、主人公は大衆演劇の座長。1982年、「六人の作家と六人の女優による六作の一人芝居《母たち》」という企画で、渡辺美佐子のために書かれた、「化粧」という女優の一人芝居でした。今回は鏡映しになる男性の大衆演劇の座長の物語が付け加えられて1幕と2幕に分け、それぞれが一人芝居で展開されます。

 1幕の主人公・五月洋子(有森也実)は、一座を率いていた夫が劇団のかつらや衣裳を持ったままオンナと逃げ、経済的から苦境からまだ生後3カ月だった息子を養護施設に預けた過去がありました。長年の苦労の末に女座長として一座を立て直した洋子の当たり演目は、幼いころに生き別れた母と再会するもやくざ稼業の身から名乗り出られない「いさみの伊三郎」。実の息子との対面企画の出演依頼に訪れたテレビ局員に、「自分が捨てた子どもの役を演じて自分を罰している。いい気なもの」と指摘されますが、それでも舞台に立ち続けます。

 2幕は、その約20年後のクリスマス。同じ楽屋で、自身の名を冠した一座を率いる市川辰三(内野聖陽)は、彼が育った養護施設のジュール修道士の訪問を受けます。一役者から座長にまで出世したことを自慢げに語る辰三にジュールは、辰三の老母が彼に会いたいと施設を訪れたと告げます。

1 2 3

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。