和田彩花がアンジュルム卒業後も「アイドル」を続ける理由とは?

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和田彩花は「議論のきっかけ」を提示するためにアイドルを続ける

 とはいえ、和田自身もこれまでの「アイドル」像を全否定しているわけではない。

 「CDジャーナル」(音楽出版社)2019年5月・6月合併号のインタビューでは<リアリティだけでは物語として成立しないとき、ちょっとしたファンタジーがあったほうが逆に心に来るものもあるじゃないですか>とも語っており、彼女自身もアイドルがつくる「虚構」の必然性も認めている。

 ただ、時代が移り変わるなかで、これまで送り手も受け手もなんの違和感もなくスルーしていた「ファンタジー」の在り方を考え直さなくてはならないときが来ているのも事実だ。

 それは簡単に結果が出る作業ではない。彼女自身<すごく難しいと思います>と認めている。

 ただ、希望は捨てていない。彼女は<それは表現の仕方でどうにかできると思う>と語る。表現の在り方を工夫することで、これまでの「ファンタジー」を全否定することなく、かといって、女性をある一定の枠のなかに押し込めるようなアイドルのかたちでもない、オルタナティブなスタイルをつくることができる可能性はあるのだ。

 それがどのようなかたちなのかは、彼女のなかでもまだ具体的に示せるほど固まっていないのかもしれない。ただ、彼女によって「議論のきっかけ」が社会に提示されることには意味がある。これまでまともに議論されたことがないトピックだからだ。前掲「CDジャーナル」のなかで彼女はこんなことも語っている。

<もっと広い分野で考えられることなので、ちゃんと考えていかないといけない。アイドル自身にも“こういうことも可能なんだよ”って考え方すら浸透していないから。そこに興味を持つこともないし、まず、そもそもの機会がない。自分たち自身で考えないといけないし、自分たち自身で責任を持っていかないといけないから、だったら私がアイドルを続けて、私が発信したりとか、歌とかダンスとかを使って関心があることを表現できたらものすごく説得力が出るなと思ったんです>

 和田が提示した「議論のきっかけ」は後進に引き継がれ、「リアリティ」と「ファンタジー」が同居したかたちの新しいアイドル像がつくりだされるかもしれない。

 それは、練習生的な立ち位置の「ハロプロエッグ」(現在の名称は「ハロプロ研修生」)時代から数えると15年もの間、ハロー!プロジェクトのように伝統ある場所で活躍し続け、旧来のアイドルの価値観も知り尽くしている彼女だからこそできる作業なのかもしれない。

 卒業後の和田彩花がどんな表現をしていくのか、楽しみにしていたい。

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