キャッシュレス推進の掛け声とともに、数多くの決済ツールが登場しています。10月に予定されている消費増税対策としてポイント還元が実施されることも後押しし、令和の時代に入ってからも、その動きは活発化。これまでの物理的なプラスチックカードだけでなく、スマホを介した決済アプリが続々登場しています。我々に身近なところでは、7月からはセブン-イレブンとファミリーマートが独自の決済アプリを開始する予定で、「〇〇ペイ」がまた増えることに。正直、多すぎます。
「使うとオトクなことがあるらしいけど……」と、ついていけない人も多いのではないでしょうか。自分に合ったキャッシュレス支払いとはどんなものか、どこを手掛かりにすればいいかについてお伝えしたいと思います。
キャッシュレスの支払い3種を見極める
その前に、そもそもキャッシュレスで支払うと何がメリットなのかを考えてみましょう。よくいわれるのは、手元に現金がなくても支払え、財布もすっきりするということ。また、現金で支払うのと比べ、ポイント還元やキャッシュバックがあってお得であるということ。自分が使いやすいキャッシュレス手段を、この2つをフックにして考えてみるとしましょう。
最初に考えるべきことは、キャッシュレスで支払った時、いつ、どこからお金が支払われるか、です。現金は財布からお金を出した時ですが、キャッシュレスはその手段によって異なります。「いつ」払うのかは次の3つに分類されます。
①前払い(プリペイド)
②即時払い(デビット)
③後払い(ポストペイ)
これを、まずは従来型のカード式で振り分けてみましょう。
プリペイド式は、事前にチャージが必要なSuicaなどの交通系ICカードや、nanaco。楽天Edyなどの電子マネーが代表的。チャージした金額以上を使うことはできません(クレジットカードを紐づけたオートチャージなどは除く)。
デビットは、銀行口座に直結したカードなどを使い、支払いと同時に利用代金が口座引き落としになるものです。銀行のキャッシュカードをそのまま決済に使うJ-Debit のほか、最近はVISAやJCBなど海外ブランド付きのデビットカードも増えています。ブランド付きタイプは、クレジットカードと同じように国際ブランド加盟店で使えるのが特徴で、デビット専用カードを新たに発行するほか、ネット銀行を中心にキャッシュカード一体型も発行されています。
ポストペイ(後払い)の代表は、クレジットカードです。支払った日より後に代金が引き落とされるので、利用した日時点で引き落とし口座に現金がなくても使えるのが最大の特徴。日本での保有率は高く、現在のところ日本のキャッシュレス決済額の約9割はクレジットカードによるものです。
キャッシュレスが便利といわれても、現金のように出入りが見えないと使いすぎるのではと危惧する人も多いようです。プリペイドはチャージ金額内、デビットは口座の金額内(1日に使える上限を自分で設定することもできます)と、使えるお金の枠が見えているので、使いすぎたくない人、家計管理を複雑にしたくない人に向いているでしょう。
次にオトクさの面。ざっくりいうならポイント還元に熱心なのは、プリペイドとクレジットカードです。デビットには、銀行ごとにポイント還元またはキャッシュバックがあるものとないものがあります(J-Debit にはそういった還元はありません)。クレジットカードの還元率は一般カードの場合で0.5~1%が多いのですが、デビットカードはメガバンクのものなら0.2%程度(ネット銀行になると1%以上もあり)。
オトク度を優先するとデビットは若干弱いということに。プリペイド系の電子マネーは、利用した金額に応じて0.5~1%のポイントバックがあるのが一般的です。ただし、還元されたポイントを更に電子マネーに交換して使えるのは大きなメリットといえるでしょう。
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