BTS(防弾少年団)やTWICE、K-POPカルチャーは韓国社会のジェンダーロールを打破するか?

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K-POPは“男性らしさ”の幻想を打ち破る

 また、2の<欧米のポップミュージックシーンとは異なる“男性らしさ”の定義>については、「KCON LA」をレポートしたアメリカのサブカルチャーメディア「kotaku」が、ディスカッションを振り返り次のように述べている。

<K-POPスターが自らを表現するアプローチは、アメリカのLGBTコミュニティにいる当事者からすると特に爽快に映る。そこは男性でも化粧をして髪を鮮やかな色に染め、洗練された男性ポップスターとしてのペルソナを持つことが当然に許されている世界なのだ>

 Frances氏は、欧米ポップミュージックシーンとK-POPシーンにおける男性らしさの定義の違いについて、東方神起『Mirotic』や、スーパージュニア『Cooking,Cooking』、BTS『Blood,Sweat,Tears』のMVを例に挙げ、「化粧をしゆったりとしたズボンに上品なトップスを身に着け肌の露出をしている彼らの外見は、西洋的な男性らしさの価値観からすればあまりにも“女々しい”言い換えれば“ゲイっぽい”と評価されるだろう」と前置いたうえで、「しかし実際、彼らは優しくフェミニンな魅力で女性ファンを熱狂させているのだ」と解説した。

 これに続いてEddie氏は、 「K-POPマーケティングの戦略は常にファンの求める姿を提供することに重きを置いている。彼ら製作者は、ファンの中には可愛らしくフェミニンでナイーヴな男性アイドルを求めている層がいることも把握している」「我々はばっちりメイクをしたK-POPの男性アイドルたちがスキンシップをしあう光景を見て彼らのセクシュアリティに想いを馳せてしまうものだが、それこそが限りなきジェンダーの柔軟性を持った男性像だと気づかされることになる」と語っている。

 現代における韓国の男性像を、“soft masculinity(柔らかな男らしさ)”として取り上げ紹介したBBCの記事によると、1980年代から90年代にかけての韓国社会では、伝統的なマッチョイズムの風潮が根強く、ポップカルチャーにおいてもギャング映画や探偵ドラマに登場するようなタフな男たちが理想の男性像として主流だったという。しかし、民主化がきっかけとなって海外文化を取り入れ始めた1990年代半ば、K-POPアイドルがファンダムという新たな文化を築いたことから、シーンは変容をみせた。

 韓国の美容文化を研究する西オーストラリア大学のJoannna Elfving-Hwang教授は、「男性のK-POPスターが美しい男を追求する姿はファンたちによって受容され、その後一般の韓国男性にも影響した」とBBCに語り、「彼らの姿は女性化した男性像ではなく、“ソフトでありながら男らしい”というハイブリッドで多面的な概念として捉えられている」との見解を示している。また、普段から男性アーティストにメイクを施しているメイクアップアーティストのHan Hyun-jae氏は、「私は彼らの顔色をより鮮やかにし、眉をより暗く、顔の輪郭を浮き上がらせるメイクを施すことで、彼らの持つ男性ならではの美しさを引き出すことを心がけている」と答えた。

 韓国の首都・ソウルでも、化粧をして街を歩く男性はごく一部に限られているが、明洞や弘大(日本における原宿や渋谷)のような若者が集う地域では、ファンデーションやBBクリームを施している男性たちが見られ、男性用スキンケア用品が一般的に使用されていることも事実だ。ここでは、「セルフケアは男らしくない」「化粧は女性だけがするもの」といった“見る性”“見られる性”の固定概念は薄れ始めているとも捉えられる。

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