BTS(防弾少年団)やTWICE、K-POPカルチャーは韓国社会のジェンダーロールを打破するか?

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韓国社会におけるジェンダー受容の現実と希望

 「KCON LA」のコンベンションの最後には、実際の韓国社会におけるジェンダーの受容についても議論された。Eddie氏は、「彼ら(K-POPアーティスト)の曲やパフォーマンスによって、オープンな思考になり解放されたと感じた人々が、しかしひとたび外へ出れば社会はまだ立ち止まったままなのだという現実を突きつけられる現状がある」とし、K-POPシーンにおいて性的マイノリティであることを公言しているアーティストは少ないことからも分かるように、現状の韓国におけるジェンダー観は、アメリカに比べてはるかに保守的な側面も多いことを指摘している。

 韓国は先進諸国で唯一、兵士同士の合意に基づく同性間性行為を犯罪と定める軍の取り決めがある。今年5月に、同僚の兵士と恋愛関係を持っていた将校が軍当局によって身柄を拘束されるという事案が発生したばかりだ。民間人であれば合法とされているが、キリスト教福音派の存在感が色濃い韓国社会において、大半の同性愛者は自身の性的指向を知られないよう隠しながら生活しているという。

 しかし、韓国社会のジェンダーに対する包容性に前進が認められる調査結果も挙がっている。韓国行政研究院が昨年、成人男女8000人を対象に行った調査によると、「同性愛反対」の排除世論が49.0%と初めて半分以下になり、2013年の62.1%から大幅な減少を見せた。また、2000年に約50人の小規模なパレードから始まった「ソウル・クィア・カルチャー・フェスティバル」は、今では韓国最大級のプライドイベントに成長し、今年6月の第20回目のパレードには、過去最大級となる7万人の参加者を集めたことも、大きな跳躍といえるだろう。

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「ソウル・クィア・カルチャー・フェスティバル2019」公式サイトより

 近年では、K-POPアーティスト自らが、セクシャルマイノリティを支持するメッセージを意識的に発信する機会も増えている。2013年には、BTSのリーダーRM(キム・ナンジュン)がTwitterで、Macklemore&Ryan Lewisによるヒット曲『Same Love』を称賛し、「これは同性愛について歌われた曲です。僕は歌詞を読んでもっとこの曲が好きになりました」とツイート、ユーザーの共感を呼んだ。また、Wonder Girlsの元メンバーで、現在では世界的なソロアーティストとして活躍するソンミ(Sunmi)は、今年6月4日にアムステルダムで行われたコンサートにて、「私には様々な側面があります。まぬけな面やLGBTクイーンといったようなね」と発言し、ステージ上でファンの差し出したレインボーフラッグを身にまとい大歓声を浴びた。これが話題となり、直後には「Sunmi」の名前がTwitterのトレンド第一位となっていた。韓国国内で大きな影響力を持つポップスターたちの言動は、ジェンダーに対して保守的な韓国社会の風向きを変える一助となるかもしれない。

 K-POPのダンスカバーを行いながらLGBT文化について発信し、25万人以上のフォロワーを抱えるチャンネルを持つYoutuber・Eddie氏は、コンベンションのラストに、「社会は立ち止まったままに見えるかもしれないが、あなたが思ったよりも多くの人がジェンダーについて学び考え始めていることも事実」と述べ、K-POPへの愛を表現することが、他文化圏のファンにとっても誇りにつながることをを主張した。最後に、Eddie氏の愛に溢れた言葉を引用する。

「いま、K-POPを愛する大きなLGBTファンコミュニティが世界各地で出来ていると感じる。特に我々はK-POPのファンダムを通じ新たな価値観や文化を学ぶ過程で、自分たちの好きなものに対する愛をいかに大きく表現し敬っていいのかを知る。K-POPファンダムではそれが当たり前だから、自分の気持ちは少しも変なものじゃないんだと感じることができる。K-POPグループの握手会やサイン会に行くと、男性も女性も関係なく皆それぞれの愛するアイドルに熱狂しているのが見られるでしょう。誰かに対するあなたの愛を表現することは素敵なことなんだ」

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