キオスクを実際に利用した感想
ここで、筆者がイギリスのマクドナルドでキオスクを実際に利用して感じたことを紹介したい。
店に入るとすぐにキオスクが何台も並んでいて、すぐにオーダーできる。タッチパネルが空くのに並んで待つことはあまりない。タッチパネルの何がよいのか。まず、ゆっくりオーダーを考えられることだ。日本でおなじみの有人レジに並ぶ場合は、カウンターの向こう側のメニューを遠くから見ながら目星をつけることになるのだが、いつも非常に見えにくいと感じていた。自分の番が来れば、カウンターの上のメニューを見ながら、即座に決定する必要がある。スタッフや後ろに並ぶ人々のことを考えると、ゆっくり選びづらい。セットメニューの仕組みが複雑でよくわからない場合もあり、予想外に高くなってしまうこともあった。
一方、キオスクで表示される商品画像は大きく、直感的で、文字を読まなくても注文を進めることができる。画面で金額を確認しながらオーダーできるので、思ったよりも高くなってしまったら戻って注文し直すこともできる。カスタマイズも便利だ。ハンバーガーひとつとってみても、マスタード、ケチャップ、玉ねぎ、ピクルスの増量、チーズの追加など、何が無料で、何が有料なのかもわかりやすい。カスタマイズできるのはピクルス抜きくらいだと思っていただけに驚いた。そんなことも、後ろに人が並んでいないのでゆっくり選べることができるおかげだ。
受け取りカウンターに進むと、キオスクで注文効率が上がっているせいか、すごいスピードでキビキビ動いているスタッフたちにみとれる。商品を待っている間は、列に並ぶのではなく、カウンター近くで待つ。人と密着しないで済むせいか、並んで待つより精神的にずっとラクである。もし日本でキオスクが設置されるようになったら、言葉の問題やコミュニケーションの問題がなくても、有人レジよりこちらを選ぶことだろう。
移民大国4位なのにインバウンド対策が遅れている
さて、日本マクドナルドの「未来型店舗体験」は、未来というだけあって、インバウンド対策もしっかりなされているのだろうか。実のところ、驚くような状況である。
モバイルオーダーのアプリは日本語対応版しか見当たらず、外国人対策が練られていない。もっといえば、公式ホームページも日本語版しかない。たとえば同じ米国発のスターバックスのホームページには英語ページがあり、ケンタッキーのホームページには目立たないながらも英語・中国語・韓国語でメニューのPDFがページ下に用意されているというのに、である。
日本人の顧客を重視したといえば聞こえはよいが、単に対応の遅れだろう。テーブルに商品を運んだり、接客スタッフが声をかけたりするのが、日本の「未来流おもてなし」とでもいうのだろうか。
年間約14億人の客を迎えているという日本マクドナルド。国際的なファストフードブランドとしては、戦略が間違っているのではないだろうか。
1 2