社会

もうプラスチックの使い捨ては終わり 海洋プラスチックごみ削減に世界規模の取り組み

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 G20サミットが6月28日・29日に大阪で開催される。それに伴い、G20エネルギー・環境相の関係閣僚会合が6月15日・16日に長野県軽井沢町で行われた。

 その会合で世耕経済産業相は、2020年4月からレジ袋を有料化する意向を表明した。これは、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催までの実施を念頭においたものだ。レジ袋有料化は、G20サミットの主要テーマのひとつである海洋プラスチックごみ問題解決の一環であり、使い捨てプラスチックの削減への意識を高める狙いがある。

 この会合では、「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」の合意に至った。これは、各国が海洋プラスチックごみ対策として、その削減に向けた行動計画や実施状況などを報告して共有するものだ。具体的な数値目標の設定には至らなかったが、各国が状況を確認して共有する枠組みができたのは意義深い。

 エネルギー・環境相の関係閣僚会合に合わせて、経済産業省・環境省主催の「G20イノベーション展」が開催された。ここには、海洋プラスチックごみ対策の展示エリアが設置された。プラスチック代替品の展示コーナーや、海洋プラスチックごみ問題の現状を映像で紹介するコーナーなどに多くの見学者が訪れた。この展示会は、「海洋プラスチックごみ問題への関心を持つきっかけとなった」と来場者にも好評だったという。

海洋プラスチックごみ問題とは

 自然界に捨てられたプラスチックごみが海に流れ込むと、太陽の光や波の力などで「マイクロプラスチック」と呼ばれる直径5ミリ以下の微細なプラスチックになる。この「マイクロプラスチック」を、海洋生物が餌と勘違いして誤飲してしまう。「マイクロプラスチック」は有害物質を含んでいるため、食物連鎖によって、海の生態系に深刻な影響を与えている。魚介類を摂取する我々人間もその影響を受けているとされる。

 また、ウミガメなどがポリ袋を餌と間違えて摂取してしまう事故や、水鳥がプラスチック製の漁網などに絡まって身動きが取れなくなり、死んでしまうなどの被害も報告されている。

 海に漂うプラスチックごみの回収は不可能に近く、半永久的に分解されず海にとどまるため、海洋汚染は地球規模で広がっている。海洋プラスチックごみ問題の解決には、世界規模での取り組みが必要だ。

まずは使い捨てプラスチック製品の規制から

 世界各国は、どのように海洋プラスチックごみ問題に取り組んでいるのか。

 カナダ政府は、2021年までに使い捨てプラスチック製品を禁止すると発表した。プラスチック製の袋、ストロー、マドラー、皿などが対象となる予定だ。カナダのプラスチックごみのリサイクル率は1割にも満たない。今後はプラスチックを製造する企業などに向けて、リサイクル基準と目標値の設置も目指していく。

 インド政府は、2022年までにインド全土で使い捨てプラスチック製品を禁止すると発表した。インドではすでに多くの州でプラスチック製の袋などの使用を禁止しているが、さらに一歩踏み込んだものだ。

 イギリス政府は、2019年10月から2020年10月までの間にプラスチック製のストロー、マドラー、綿棒の販売を禁止すると発表した。この3製品については、代替品が市場にすでにあると判断しためだ。イギリスでは、すでにレジ袋に対する課税を実施しており、使用率の大幅な減少に成功している。

 EUは2021年までに、プラスチック製のストローや食器など10品目の使用を禁止する見通しだ。ペットボトルは、2029年までに90%の回収率を目指す。EU加盟各国は消費者に対して、プラスチック削減やリサイクルに関しての啓蒙活動も展開していくという。

有害廃棄物の輸出入規制

 今年5月にスイスのジュネーブで、バーゼル条約の締約国会議が開かれた。バーゼル条約は有害廃棄物の輸出入を規制するもので、その有害廃棄物の中に汚れた廃プラスチックを含めると改正された。2021年1月から施行予定だ。

 これにより、汚れた廃プラスチックを輸出するには、輸入元となる政府の同意なしには不可能となる。リサイクル資源としてのプラスチックごみは、主に先進国からアジアの国々に輸出されているが、中には汚れていたり他のごみと混ざっていたりして、リサイクルできないものも多いという。この条約の改正により、汚れたプラスチックごみの輸出が難しくなるため、日本国内の処理体制の見直しも急務となっている。

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