2020大統領選、ようやくディベート開始
6月26日、参院選は「7月4日に公示、7月21日に投開票」と臨時閣議で決定した。公示から投票までわずか17日間。日米は政治の仕組みが根本から違うとはいえ、アメリカの長い選挙戦とのあまりの違いに驚くばかりだ。
アメリカでは選挙は毎年11月の第1火曜日と決められている。ただし各党の代表候補者を決める予備選はそれに先駆けて行われる。また、欠員が出た場合の特別選挙はその都度、行われる。大統領選は4年に一度であり、次は来年(2020年)だが、今年の11月にも各地で地方選が行われる。
以下、大統領選に絞って話を進めるが、このように選挙サイクルが決まっているため、立候補者は長期にわたる選挙活動を行える。2020大統領選も、トランプ当選翌年の2017年に出馬表明を行った候補者がいる。もっとも、主だった候補者たちが名乗りを上げたのは今年の年明け以降だが、それでも選挙期間は2年近くにも及ぶことになる。
2年は長い。立候補者も有権者も共に気力・体力・経済力を要する。広大なアメリカ大陸50州を網羅する選挙戦はとにかくお金がかかる。候補者は集金マシーンと化し、支援者は頻繁に寄付を依頼される。今週(6月26/27日)には民主党候補者の第1回目のディベートが行われるが、参加資格のひとつが「65,000人以上からの寄付」だ。そのため参加資格判定の締め切り間際になると、候補者本人の名義はもちろんのこと、「コーリー・ブッカーの母」「アンドリュー・ヤンの妻」といった名義からも支援と寄付を依頼するメールが届いた。
有権者側も長い選挙戦に時には疲れてしまうのだが、それでも「どうせなら楽しもう!」と臨むのは、これはもうアメリカの国民性だろう。大統領選を「4年に1度の祭」と捉えるのだ。
選挙に欠かせない選挙グッズ
長く熱い祭を盛る上げるためには、祭グッズが必要だ。候補者の名を記した選挙応援グッズだ。グッズを身に着けた支援者は候補者にとって歩く広告塔であり、かつ支援者に販売することで選挙資金にもなる。どの候補者も公式サイトに「Shop」「Store」のページがあり、そこで販売されている。全候補者のグッズの総量は膨大になり、グッズのデザインや制作を請け負う企業にとっては大変にありがたい顧客であり、経済効果の一端でもある。
ちなみに各候補者、工夫を凝らしたグッズをあれこれ販売するが、「缶バッジ・ステッカー・Tシャツ」が三種の神器と言える。中でも缶バッジは手軽さ、値段の安さから一番人気で、缶バッジ無くして選挙は成り立たないと言えるほどだ。
以下、主だった候補者のグッズ(のごく一部)を紹介する。
●アンドリュー・ヤン
「トランプと違って数学の得意なアジア人」をキャッチフレーズにする台湾系アンドリュー・ヤンの缶バッジ2ケセット、5ドル。
●ジョー・バイデン
「イケてるバイデン」の「イケてる」部分を強調するレイバンのサングラス、「オバマ付きの副大統領」のイメージを払拭するための「PRESIDENT」。支持率の高さから4ケで10ドルと強気な価格。
●ベト・オローク
「すべての人にベトを」 6月はプライド月間。多くの候補者がレインボーカラーのグッズを販売。Tシャツ30ドル。
●バーニー・サンダース
プライド・フラッグの缶バッジ。定番の6色に、人種マイノリティを表す黒(グレー)と茶色を加えたヴァージョン。黒人からの支持率が低いサンダースの努力。5ドル。
●エリザベス・ウォーレン
トートバッグも人気商品。35ドル。
●タルシ・ガッバード
前庭の芝生に刺すヤード・サイン。郊外の一戸建て向け。アパート林立の都市部では使えない。2枚セット29.99ドル。
●ピート・ブーティジェッジ
発音できない&覚えられない名前「Buttigieg」を逆手にとり、「ブート・エッジ・エッジ」とジョークにしたマグカップ。20ドル。すでにソールドアウト。
●コーリー・ブッカー
熱血漢コーリー・ブッカーのステッカー「私たちを分断する境界線は、我々を結び付ける絆のように強くない」。アフリカン・アメリカンゆえに人種問題を表すフレーズ。ただし移民排斥問題、所得格差なども意味する。2枚セット5ドル。
●ジョン・デラニー
トランプの似顔絵がジョーカーのトランプ。10ドル。
●カマラ・ハリス
女性候補として女性支持者に子供支援を訴えるためのベビー用ロンパース。いわば共感作戦。29.99ドル。
●フリアン・カストロ
メキシコ系ゆえの「エル・プレジデント」とスペイン語で書かれたステッカー。ヒスパニック有権者から親近感を得られる一方、非ヒスパニックからの反感を買うリスクは覚悟の上。「46」は第46代大統領の意。2枚セット4ドル。
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