こんなにも違う日米の選挙~大人が政治を楽しむ心意気と子供が政治参加する権利

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学校での政治活動OK!

 こうした選挙グッズ、アメリカでは子供が身に着けて登校しても問題はない。というより、子供はその権利を有する。

 アメリカは憲法修正第1条で「信教・言論・出版・集会の自由」を保障しており、選挙権を持たない18歳未満にも適用される。とくにニューヨーク市の教育庁は公立学校(幼稚園〜高校)に通う生徒を対象に、憲法を基にした「生徒の権利章典」を定めている。つまり、子供も校内での政治活動を行えるのだ。

 権利章典では「政治、信仰、信条によるグループ」を結成すること、または参加することを認めている。新聞や政治的なパンフレットを発行することも同様だ。さらに政治的、またはその他のメッセージを記した缶バッジ(英語ではbutton)を着けることもできるとある。章典にわざわざ “button” と書かれているのが、アメリカでの缶バッジの政治性と浸透度を物語っている。

 もちろん学内ゆえ、どの活動も学業の妨げにならない程度でなければならず、他者を誹謗中傷するもの、常識を欠いたものは出版も、身に着けることも許されない。その判断は学校側による。

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こんなにも違う日米の選挙~大人が政治を楽しむ心意気と子供が政治参加する権利の画像2 ウェジー 2018.03.15

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こんなにも違う日米の選挙~大人が政治を楽しむ心意気と子供が政治参加する権利の画像2 ウェジー 2018.03.29

子供が持つ、政治活動の権利

 全米でいくつかの学校がウォークアウト参加禁止令を出して話題となったが、ニューヨーク市の教育庁は各生徒の自由裁量とした。筆者の息子は当時、中学生だったが、学校から保護者宛のウォークアウト参加を知らせるプリントを持ち帰ってきた。当日、筆者も学校に出向いたところ、まだ中学生なので校外を歩き回ることはさせず、参加希望の生徒だけが教員とともに学校の前に17分間、佇んで校内に戻った。

 終了後に駅に向かって歩くと、他の学校の壁や窓に「アンチ銃暴力」を訴える張り紙が何枚もあった。駅前では高校生が集まってアンチ銃のスピーチを行っていた。意見の相違から討論となる生徒たちもいた。高校生が集まっていたのは「トランプ・インターナショナル・ホテル」の入り口前であった。そこで集会を開くこと自体が、政治的意思表明だった。

 政治への関心は大人になって急に芽生えるものではない。幼いころから身近な大人の政治参加を見て少しずつ馴染み、子供自身が社会や政治と自分の距離の近さを知ることから始まる。子供の政治参加を促す一環として、大人がカラフルな政治グッズを身に付け、政治参加を楽しむことも有用だろう。政治的缶バッジは大人も子供も着けられるからこそ、アメリカではこれほどまでに定着しているのだ。

 そんな風土の中で育ったあの高校生たちは、学校での乱射事件を他人事ではないと受け取った。トランプのアンチ移民政策や人種差別発言に芳しくない影響を受け、それを自覚する生徒も大量に存在する。いつの時代にも、子供も影響を受ける社会事象があるからこそ、子供に政治参加の「権利」があることを知らせ、それを大人が尊重することが肝要なのだ。
(堂本かおる)

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