日本人の給料はなぜ下がり続けるのか? デフレマインドから脱却できない企業

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給与体系の問題

 そしてもうひとつの原因が、日本の給与体系だ。これはそのような傾向があるという話だが、欧米ではその社員の役割や責任の大きさ、成果などにより給料が決まるが、日本では「その会社」に何年在籍しているかで決まることが多い。このことは、日本では業績への貢献度が高い人も在籍年数が短い限り、さして給料は上がらないことを示している。その結果、朝から晩まで懸命に働いて売上げを伸ばした20代の若手よりも、デスクでふんぞり返ってコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる40代のおじさんのほうが、給料がはるかに高いのだ。見方によっては、このふんぞり返っているおじさんたちのために、若手は頑張っているといえる。

 このような給与体系では、いくら優秀でも「その会社」から転職すると、転職先の「会社」ではいったん勤続年数がリセットされてしまうため、給料が下がってしまう傾向がある。そのため、日本人は「その会社」にしがみつきたがるのだ。

 一方、企業の成長が著しい中国の都市部や香港、あるいはシンガポールなどの先端企業では、新卒でも優秀なら日本の役職付き程度の給料をポンと出す。勤続年数ではなく、何ができるのかを重視しているためだ。

 日本の場合は、新卒社員の給料や若手社員の給料は能力に関係なく横並びになる。そのため、賃金の低下圧力が加わった場合も、みな一様に下げられることになる。

高齢者が若者の競合になっている

 さらに賃金を引き下げている原因として浮上するのが、高齢になっても会社で働き続けなければならない人たちの存在だ。

 太田聰一慶応義塾大学教授は、高齢者の継続雇用者が非正規雇用者となることが進めば、新卒者の一般労働者とより広い範囲で仕事の奪い合いが深刻化する可能性を指摘している。(『雇用の場における若年者と高齢者――競合関係の再検討』

 実際、高齢者たちの多くはそのまま会社から退場しない。嘱託などの非正規雇用で働き続けようとする。内閣府の発表では、平成28(2016)年の労働力人口は、6,673万人であったが、このうち65歳以上の者の割合は11.8%と上昇し続けている。そして65歳以上の非正規の職員・従業員の割合は75.3%とほぼ4人の内3人となっている。(『4 高齢者の就業|平成29年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府』

 このような60代の賃金は一気に下がるため、日本全体の賃金の平均を下げているだけでなく、若手社員の競合になってしまっているのだ。

 一億総活躍社会を掲げた結果、高齢者の労働参加も促され、低賃金の非正規雇用者が労働市場で若手と競合することになる。

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