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鬱病から回復し妊娠も、「いいお母さんになんてなれない」と葛藤した日々

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妊娠中に悪化した鬱、出産直後には子宮全摘手術

「妊娠して嬉しいより怖いという気持ちが強くて。癌のことではなく、やっぱり自分はいいお母さんになんてなれないと思えてしまったんですね。妊娠初期はホルモンバランスが崩れて誰でも不安定になるものかもしれませんが、それまで15年以上飲んでいた精神安定剤や睡眠薬を急に止めてしまったのが原因だったかもしれません。精神科の先生は頓服として安定剤を出してくれていたものの、胎児への影響がゼロではないと言われて飲む気になれなくて。でもおかげで夜も眠れずパニックになってしまって。結局、中絶と自殺のことしか考えられなくなったんです」

 妊娠初期の鬱状態はひどく、睡眠薬が手放せなくなっていた体ゆえ、眠ることもできずただ耐えて過ごしたという。

 精神科の医師が時折話を聞いてくれたこともあり、安定期に入る頃には少し落ち着いたものの、7カ月目で今度は妊娠糖尿病にかかり、入院。その上、最終的に胎児が逆子になってしまい、血圧も上昇したため、帝王切開での出産となった。

「担当の先生には、村田さんは盛りだくさんでドラマみたいな妊娠ですねと言われるほどでした(笑)。本当にこれで、自分は母親になんてなれるのか、と思う気持ちは続いていたけれど、でもなんとか無事に息子を出産できて。でもホッとしたのは束の間、産後1カ月の検査で、すでに子宮頸癌のステージがIb1になっているとわかりました」

 妊娠期の10カ月の間に、思いもよらないほど進行していた。子宮全摘に加えて、卵管と膣の一部も摘出、さらに骨盤内のリンパ節も切除することになった。

「聞いたときはやっぱりショックでした。排尿障害で一生自己導尿(※自分で尿道からカテーテルを入れて尿を取る方法)になるかもしれないとか、下肢に重いリンパ浮腫が起こる可能性もあるなど、後遺症のリスクを聞くのも怖かったです。

 でも、最初に思ったのは、ああ、この子が産めてよかったってことでした。本当にあと少しタイミングが違っていたら、妊娠継続はできなかったわけで。妊娠中はあんなに怖かったのに、母親にしてもらって、ただただ感謝しかありませんでした」

 子どもが生まれるまでは、父親になる準備がまだまだできていないように見えた夫も、手放しで息子を可愛がった。由美子さんの病気を気遣いながら、その後の治療を黙々と支えてくれたのも、外でもない夫だった。

▼後編へ続く:生まれて初めて、死にたくないと思うことができた /公開は29日を予定しています

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