セブンイレブンの24時間営業はもう通用しない! フランチャイズビジネスの歪み

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「Getty Images」より

 コンビニエンスストアは全国に5万8000店以上あり、今や10兆円を超える巨大市場となっている。年間で累計174億人が足を運び、日々の買物やさまざまなサービスを利用する生活者にとって、身近で欠かせない存在だ。

 平成の時代に多くの人に支持されたが、ここにきて成長が鈍化。本部と加盟店の間の対立も表面化し、令和の時代を迎えて曲がり角を迎えようとしている。

 今年2月、セブンイレブンの加盟店が営業時間を短縮し、これを契約違反とするセブンイレブン・ジャパンと対立。加盟店のオーナーらが集まる団体も24時間営業の見直しを要求する事態となり、テレビ、新聞などでも大きく報じられた。

 これを契機に24時間営業の是非が問われ、売れ残り商品の処分を巡っても改めて議論が巻き起こり、コンビニエンスストアの問題点が浮き彫りになった。

 オーナーが24時間営業を中止した背景には、募集してもアルバイトが集まらない深刻な人手不足が影を落としている。だが、実はかなり以前から24時間営業は加盟店のオーナーにとって大きな負担となっていた。

 オーナーは年中無休の24時間営業で店を開けていると、葬式に行けない、子どもの学校行事にも参加できないといったことが起こる。長時間労働によって過労で体を壊し、病気になるケースもある。

儲けすぎの本部と苦しい店長

 コンビニエンスストアのビジネスモデルは、本部が店舗のフォーマット開発や品揃え、実施するサービスなどを決め、商品の供給、システム供与などを担い、加盟店は本部の支援を受けて、店舗の運営を行うというもの。売上総利益は双方が分け合う。

 店を開けて売上があれば、その分、加盟店が本部に支払うロイヤリティも増え、本部の収入となる。だが、店を開けるには人件費などのコストがかかるため、それに見合う売上がなければ、店側は赤字になる。

 本部にとっては、加盟店の営業時間が長ければ長いほど利益を得る可能性が高くなる。極端に言えば、売上の多寡にかかわりなく、100円でも売れれば儲かるのである。この構図は、双方の利害対立が生まれる要因となっている。

 ロイヤリティの料率は、物件が自前店舗か否か、粗利益額、水道光熱費の負担などの諸条件によって異なり、チェーンによっても差がある。本部と加盟店がウィンウィンの関係であれば問題はないが、思うように売上が上がらず、経費の負担も重ければ、加盟店は窮地に立たされる。

 ちなみにセブンイレブン・ジャパンの営業総収入は8498億円、営業利益は2441億円(2018年2月期)で、営業利益率は28.7%という高水準だ。一方で、オーナー収入は推定700万~1000万円程度で、家族経営も多いことを考えると一人当たりの収入はさらに低くなる。経営者に限らず、パートやアルバイトの時給も高いとはいえない。本部は儲けすぎているといわれても仕方がない状況だ。

加盟店は収奪され疲弊し、本部のみが栄える

 フランチャイズビジネスは、加盟店は本部なくして店舗を回せず、本部は加盟店がなくては事業が成立しない。持ちつ持たれつなわけだが、加盟店の生殺与奪権は本部に握られているといっても過言ではない。本部は加盟店について「イコールパートナー」を標榜するが、実質的には従属的な立場にあるともいえる。

 この格差はフランチャイズビジネスの歪みともいえる。極論すれば、加盟店は収奪され疲弊し、本部のみが栄えるという構図である。資本主義の自由経済下では、企業は利益拡大に向けて追求し続け、下世話にいえば「儲けてなんぼの世界」であるが、近年はCSRをはじめとして社会的役割も問われている。

 それを考えると、本部と加盟店は契約を結んだうえの関係といえども、その契約内容自体に、正すべき点は多々あるのではないか。フランチャイズシステムそのものが抱える大きな問題点の検証が必要だろう。

 また、利害相反やその関係性を問題視する前に、そもそもオーナーの過重労働の問題がある。オーナーは労働基準法による保護の対象外であるため、1日8時間、1週間40時間以内という法定労働時間も適用されない。このことが、いくら長時間労働してもかまわないという事態を招いている。

 よく芸人やタレントが急に売れ出して、1日の睡眠時間が2、3時間しかないと誇らしげに言ったりするが、彼らは労働基準法で定められた労働者でないため問題はないとされている。しかし法律上は労働者ではないとしても、実質は事務所の従属関係にあるケースもあろう。もし、労働者が同じ発言をしたら大問題となり、雇用者は罰則を受けることになる。

 自営業者と労働者は、同じ人間でありながら、互いに異なる働き方が可能になっており、労働時間に関する法の規定はダブルスタンダードであるといえる。この問題に法律がどうコミットメントするか、難しい判断を迫られるが、「働き方改革」を実施する以上、大いに議論がなされるべきであろう。

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