妊娠と同時に子宮頸がんが発覚、「生きていたい」から選択した決断

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放射線ではなく抗癌剤治療を選択した理由

 「再発リスクを防ぐには放射線治療が選択肢としてはある。だが、副作用でリンパ浮腫が悪化するかもしれない」と、主治医は言った。リンパ浮腫は命に別状がないとは言え、最悪の場合足が腫れあがり、歩行困難になる場合もある。

「そこまでリスクを負いますか?」

 そう聞かれ、由美子さんは首を振った。

「これから息子が大きくなったら、小さな男の子を追いかけまわさなきゃいけないでしょう。私はそれができないのは嫌だったんです」

 放射線治療はしない、と決めた由美子さんに、普段は無口な夫が口を挟んだ。「本当にそれでいいのか。それしかないのか?」。

 妊娠初期に「産後まで様子を見ても問題はない」と言われるまま、これほど妻の体は悪化してしまった。何もできない不甲斐なさがあったのかもしれない。

 別の病院を受診し直すと、放射線治療ではなく抗癌剤治療を勧められた。

「リンパや血管に癌が飛び散っている可能性があるなら、放射線治療で一箇所を治療するより、抗癌剤で全身を治療をする方がいいかもしれない、とその病院の先生がおっしゃってくれて。それはそうかもしれない、と思い、元の主治医とも相談して、抗癌剤治療を受けることにしました」

 手術から2カ月後の9月から12月まで、4カ月に渡り、3回にわたる抗癌剤治療が始まった。

「ようやく手術後退院して、家族3人で暮らし始めたのに、抗がん剤治療が始まったらまた実家に出戻り(笑)。夫もよく我慢してくれました。息子は最初の1年は、もう私の両親に育ててもらったようなものですね。母が一番面倒を見てくれたんですけど、息子はなぜか父に懐いて。父もミルクをあげたりして、今も3人の孫の中でも息子を溺愛してくれているかもしれません(笑)」

 抗癌剤治療中は、髪の毛が抜けたり、ひどい関節炎に悩まされたりと、苦しいこともあったが、幸い吐き気などは少なく、由美子さんはなんとか無事に治療を終了した。

「治療後はずっと実家でゴロゴロして。せっかくダイエットをしたのに、またすごく太ってしまいました(笑)」

 一旦、由美子さんの癌は寛解状態に入った。ただ、術後5年は様子を見るため定期的な検診を受ける必要がありおり、息子が2歳半になった今も、病院通いは続いている。

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