子供の病気で会社を休むことへの「罪悪感」、8割の親が抱いている

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「Getty Images」より

 株式会社パートナーエージェントは今月中旬、20~49歳の独身男性3760人を対象に実施した調査結果を発表した。その結果、将来子供がほしいと考える男性の78.1%が「育休を取りたい」と回答し、育休取得に前向きな男性は多数派と言える。

 政府も21日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」で、「女性活躍の推進」の項目に、「育児休業を希望しても申請できない男性が多いことを踏まえ、制度的な改善策を含めて検討し、男性の取得を一層強力に促進する」という記述を新たに盛り込んだ。

 しかし経済界では男性育休推進への反発が予想される。株式会社カネカの元社員の男性が育休取得から職場復帰した後に転勤を命じられ、退職に追い込まれたという件が「パタハラ(※)ではないか」とネットで大いに話題となった。

※「パタニティ・ハラスメント」の略。男性社員の育児休業制度の利用に対して、上司や同僚、会社から嫌がらせを受けるという意味

 カネカ側は、<育休をとった社員だけを特別扱いすることはできません。したがって、結果的に転勤の内示が育休明けになることもあり、このこと自体が問題であるとは認識しておりません>と説明している。

 また、HARBOR BUSINESS Online誌上で株式会社アシックスの男性社員がパタハラを告発。育休を取得した男性社員は復帰後に子会社への出向を命じられ、倉庫勤務や雑務を強いられた。男性は元の部署に戻れないかと弁護士に相談し、本社への配属が決まったが、そこでも雑務ばかりをやらされ、業務の指示も一切ない日々を過ごしたと主張。現在、団体交渉中だという。

  厚生労働省が今月発表した「平成30年度雇用均等基本調査(速報版)」によれば、女性の育休取得率は82.2%なのに対して、男性はわずか6.16%。この数字からは、日本社会においてまだ「育児=女性の仕事」という意識が蔓延していることが読み取れる。父母どちらかが全面的に育児を負担するのではなく、男女どちらも働きながら子育てする前提での“働き方”をあらゆる職場において可能にしていく必要があるだろう。

子供の看病で休むと「職場に迷惑をかけ心苦しい」

 子供の急な発熱などで会社を休むことにさえ、気苦労を伴うビジネスパーソンは非常に多い。6月15日放送の『すくすく子育て』(Eテレ系)では、「子供の病気で仕事を休む時に気持ち」について子育て世帯に調査を行い、「職場に迷惑をかけ心苦しい」(77%)という回答が8割近くいたという。子供のために仕事を休むことを、ネガティブに捉えざるを得ない。これでは少子化を脱することなど不可能だろう。

 同番組内では、恵泉女学園大学学長で発達心理学に精通する大日向雅美氏と一般社団法人「知ろう小児医療守ろう子ども達の会」の代表で子供の病気に関する講演活動をしている阿真京子氏が、子供のために会社を休むことに悩んでいる人達にアドバイスを送った。

 子供が病気になってしまった時に「職場にも子供にも申し訳ない」と罪悪感を抱えてしまうと心情を吐露する女性に対し、大日向氏はこう伝えた。

「(子供が病気になった時に)『仕事どうしよう』って思うと『母親失格かもしれない』と思うけど、それは全く違う。子供のことを第一に思いながらも、仕事のことも一生懸命考えている。職業人として私は立派だと思います。母親であると同時に職業人であることに自信を持っていただいて良いと思いますよ」

 また、子供が病気になった時に病児保育を利用することを「家で見たほうが良いのでは…」と葛藤する女性に、阿真氏は「ママもパパも頑張るから、預けられたところで頑張ろうね」と子供と一緒に困難を乗り越えるスタンスに切り替えていいとコメントした。

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