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ハラスメント禁止の国際条約、経団連はなぜ棄権したのか

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Getty Imagesより

 21日、国際労働機関(ILO)は、職場でのハラスメントを全面的に禁止する国際条約を採択した。

 この総会では、加盟国の政府に2票、労働組合と経営者団体に1票ずつ割り当てて投票を行い、賛成439票、反対7票、棄権30票と、圧倒的賛成多数で採択されている。

この投票において日本側は、政府と連合が賛成票を投じたが、経団連は棄権した。

ハラスメントを禁止する画期的な国際条約

 ハラスメントに関する初の国際基準となる条約では、ハラスメントの定義を<身体的、心理的、性的、経済的被害を引き起こす、または引き起こしかねない、さまざまな受け入れがたい振る舞いや慣行>としたうえで、これらの行為を法的に禁止するとしている。対象の範囲は従業員のみならず、インターン、ボランティア、求職者も含まれる。

 日本では今年5月に職場でのパワハラ防止を企業に義務づける女性活躍・ハラスメント規制法が可決、成立している。この改正法では、企業に対して相談体制の整備や、被害者に対する不利益な取り扱いの禁止を義務づけているが、パワハラそれ自体に罰則規定を設けることは見送られた。

 ヨーロッパではフランスやスウェーデンなど、職場でのハラスメントに罰則を設けている国も多い。今回採択された国際条約でも、ハラスメント被害者への救済策はもちろん、必要に応じて処罰のための措置をとることが求められている。

 この条約を批准した国は条約に沿うかたちで法整備を行うことになる。日本でもハラスメントに関する法整備の議論が進むことになるだろうが、気になるのが、政府が賛成票を投じたのにも関わらず、棄権を選んだ経団連の投票行動だ。

経団連はなぜ棄権したのか?

 24日の会見で棄権の理由について問われた久保田政一事務総長は、<上司の適正な指導とパワハラは線が引きにくい><ILOの条約は定義が広く、(線引きが)どうなるのかはっきり分からない>と説明しているが(朝日新聞6月25日付朝刊)、この説明に納得できないとする声は多い。

 WEZZY編集部では、「国際条約とはまた違う日本独自のハラスメントに関する定義をつくり、それをもとに議論をしていく(もしくは議論を促していく)具体的な検討はあるか」といった質問を経団連に送ったが、経団連側は「コメントを差し控える」として回答を得ることは出来なかった。

 東京新聞6月9日朝刊によれば、女性活躍・ハラスメント規制法において日本の法規制が甘いものになった理由は、経団連など経済界が訴訟リスクを恐れて規制に反対し、政府もそれに配慮したためであるという。

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