ハラスメント禁止の国際条約、経団連はなぜ棄権したのか

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 ハラスメント撲滅に本気で取り組んでいるとは到底受け取れない経団連の姿勢に批判的な声が向かうのは必然と言えるが、それと同時に賛成票を投じた政府の対応にも疑問が残る。

日本政府は国際条約を批准する気がない?

 先に述べた通り、ILOに加盟している国はこれからそれぞれ条約を批准するか検討することになり、批准すれば条約に沿うかたちで法整備を行うことになる。

 しかし、厚生労働省の麻田千穂子国際労働交渉官の発言を聞く限り、今後の政府の対応に期待感は薄い。

 麻田氏は国際条約に対して<仕事の場での暴力やハラスメントについて国際的な労働基準が初めてできた意義はとても大きい。国内政策でも今、私たちは職場のハラスメントをなくそうと一生懸命取り組んでいるところで、まさに方向が一致している>と前向きな評価をする一方、批准に関しては<条約の採択に賛成するかどうかということとは次元の違う話で、国内法と条約の求めるものの整合性について、さらに検討していかなければならない>と、微妙な含みをもたせている(6月22日付「NHK NEWS WEB」より)。

 前出東京新聞の報道によれば、昨年の総会において日本は、被害の対象者の限定など水準引き下げを要求。その後ろ向きの姿勢に各国から失笑が漏れたという。

 職場や学校におけるハラスメントの問題は連日のように発覚しており、社会的なイシューとなっていることは政府や経済界も十分認識しているはずだ。先に述べた会見において経団連の久保田事務総長も<パワハラはあってはいけない>(朝日新聞6月25日付朝刊)として防止に取り組む姿勢を述べている。

 しかし、国際条約をめぐる対応を見る限り、言行不一致な印象は拭えない。政府は一応賛成票を投じたものの、批准するかは微妙で、新たな法整備に向かっていく公算は低いのではないか。この条約の採択によって国際社会はハラスメントへの厳格な対応に舵を切っていくが、日本もどうにか追随してほしい。

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