社会

就職氷河期世代の支援はたった3年? 15年以上も放置された「引きこもり」と雇用問題

【この記事のキーワード】
【完成】就職氷河期世代の支援はたった3年? 15年以上も放置された「引きこもり」と雇用問題の画像1

「Getty Images」より

 政府は6月11日、「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太の方針)の原案で「就職氷河期世代」の支援策を盛り込んだ。しかし、この支援策はあまりにも杜撰で、政府の“ご都合主義”によるものでしかない。これで本当に就職氷河期世代は救われるのだろうか。
 
 「就職氷河期世代」とは、厚生労働省の資料によると1993~2004年に卒業し、大卒なら37~48歳、高卒なら33~44歳の世代(2019年現在)の人々のことを指す。

 この世代はバブル経済崩壊後の不況期に就職時期を迎えたことで、非常に厳しい採用環境の中、新卒として正社員で採用されることが難しかった。その後も、景気回復の遅れと企業側の新卒優先の採用から、非正規雇用での就業が続き、正規への雇用転換が困難な状況が続いた。

 年齢的に見れば、まさに現在の日本経済を支える“働き盛り”の世代だ。NHKの『クローズアップ現代+』 では、「アラフォー・クライシス」と題し、同世代の特集を数回にわたって組んでいる。
 
 6月11日に内閣府が出した「就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料」によると、現在の就職氷河期世代の雇用形態の内訳は、以下のようになっている。
 
<35~44歳の就職氷河期世代(2018年時点で1689万人)の雇用形態>
・正規の職員・従業員916万人
・非正規の職員・従業員371万人
  うち正規雇用を希望していながら、 現在は非正規雇用で働いている者50万人
・非労働力人口219万人
  うち家事も進学もしていない無業者40万人
・自営業主・家族従業者94万人
・役員46万人
・完全失業者33万人
・その他9万人

 なお、中高年のひきこもりには就職氷河期世代が多いと指摘されており、日本総研の推計による40歳代のひきこもり約27万人も含まれている。

「人生再設計第一世代」のネーミングも不評

 安倍晋三首相は、4月10日の経済財政諮問会議で、「就職氷河期世代への対応は国の将来に関わる重要な課題だ」として、同世代の支援策強化を指示したことで、新たな支援策が策定されることになった。

 だが、政府が就職氷河期世代の支援策を打ち出したのは、これが初めてではない。2003年6月には、「若者自立・挑戦プラン」を実施していたが、ほとんど成果は上がらなかった。

 また2013年度からは、「トライアル雇用助成金」制度が実施されている。これは、公共職業安定所(以下、ハローワーク)や職業紹介事業者などの紹介により、原則3カ月の有期雇用契約した事業主に対して助成金を支給するもので、対象者を同世代のニートやフリーターのほか、母子家庭の母、学卒未就職者などとしてスタートした。

 しかし、対象者を同世代以外にも拡大したことで、“転職支援”的な要素が強く、トライアル雇用後の正社員としての雇用状況も不透明だった。2019年度からは対象者から「就労経験のない職業に就くことを希望する者」などの条件を廃止し、新たに「ニートやフリーターなどで45歳未満の者」「生活困窮者」を加えたが、同世代の雇用に役立っているかはわからない。

 2017年度からは「特定求職者雇用開発助成金」制度が開始された。同制度は就職氷河期世代を対象とし、ハローワークなどの紹介により正規雇用労働者として雇い入れる事業主に対して助成金を支給するもので、2017年度は5億3495万円の予算額に対して、利用は27件で765万円、2019年度には予算を10億7860万円に拡大している。しかし制度の利用は453件の1億2800万円(2018 年末時点)しかなく、“お世辞にも”効果が上がっているとは言えない状況だ。

 このように就職氷河期世代は、2003年の「若者自立・挑戦プラン」ですら、就職できずにいた時期から10年以上も放置された後に出された支援策であり、その後の支援策もほとんど効果を上げていない。氷河期世代が“見捨てられた世代”と言われる所以だ。

 これは、4月10日の経済財政諮問会議で、就職氷河期世代に対して「人生再設計第一世代」という“屈辱的”なネーミングがつけられようとしたことでも明らかだ。これに対して、SNS上では「政府は、人のこれまでの人生を勝手に“失敗”と評価し、再設計しろというのか」「バカにするのもいい加減にしろ」といった批判が相次ぎ、政府は「人生再設計第一世代」というネーミングを“封印”、以後は「就職氷河期世代」と表現している。

1 2

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。