米国を取るか中国を取るか、選択を迫られるグローバル企業

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内向きトランプ、日米安保の廃棄も

 こうした事案がトランプ大統領の気まぐれや一過性のものならまだしも、トランプ大統領はますます内向きになっています。安全保障を重視しているだけに、周辺国もある程度同調せざるを得ない面があります。トランプ大統領は6月24日、自身のツイッターに、「ホルムズ海峡を通過して原油を運ぶ日本や中国は、自分でその安全を守れ。米国は無報酬でこれらの船を守ってあげる必要はない」と書き込みました。

 以前からトランプ大統領は、「もはや米国が世界の警察の役割を果たす余裕はない」と言い、在外米軍を縮小、撤退させる意向を示しています。米国の安全保障を脅かすものは、同盟国の企業でも許さない、との立場のようです。

 6月25日のブルームバーグ・ニュースの記事によると、トランプ大統領は親しい人間に、日米安全保障条約の破棄の可能性を考えていると語ったと言います。さすがに米国がすぐに日米安保破棄に動くとは思えませんが、一連の動きは他国の安全保障にまで関与しない姿勢がよく表れています。翌日のFOXニュースでも同じ内容を自ら話しています。

 このトランプ政権がしばらく続くとすれば、日本としてもトランプ政権と同調する形で安全保障の観点を最優先する必要が生じ、ビジネスのあり方も検討せざるを得なくなります。特に米国が制裁を科している中国、北朝鮮、イランについては日本にも大きな影響があるだけに、対応を準備しておく必要があります。

米国を取るか中国を取るか

 そうなると、グローバルにビジネスを展開する日本の企業は大きな選択を余儀なくされます。米国市場でのビジネスを確保するためには、中国や北朝鮮、イランとのビジネスにおいては間違っても制裁企業と取引をしたり、対象商品を購入したりすることは許されません。米国市場を大事にすれば、その分中国や北朝鮮、イランを諦めなければなりません。

 逆に中国をメインの市場とする企業は、米国の制裁を甘受し、米国市場でのビジネスは諦めねばならなくなります。その場合、日本が今後安全保障上の法整備を進めたとすれば、これに抵触して政府調達からも排除されるリスクがあります。

 制裁対象をきめ細かくチェックしつつ、全方位のビジネスを展開できれば良いのですが、トランプ政権が国家安全保障に神経質になる以上、その網をかいくぐることは容易でなくなります。政府自民党もトランプ大統領に同調して安全保障優先のルール作りをしようとしています。

 結局、日本は米国を取るか中国を取るか、の選択を余儀なくされる可能性があります。これは日本のグローバル企業にとってビジネスを縮小させる大きな壁になり、日本経済全体にとっても収縮効果を持つことになりそうです。

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