「独身と子なしは信用できない」企業ツイートで炎上 日本型雇用の人質制度そのもの

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「家族手当」は家族を人質にとっていないか

 一連の投稿に対しては、批判だけでなく「家族のいる社員のほうが、責任感を持って働くというのは確かだろう」等と肯定的な意見も出ており、議論に発展している。だがこんなことは今さら何も目新しくはなく、むしろせっかく前進しつつある時代に逆行する、後ろ向きな「制度整備」と言えるだろう。

 配偶者や子どもを持つ社員に住宅手当や家族手当を支給することは、典型的な日本型雇用の慣習だ。男性が家族の生活を成り立たせるために働き、企業は家族を養えるだけの賃金を払う「家族給」(生活給)という考え方により、女性の就労や雇用の安定が阻害されてきた側面もある。男性稼ぎ手モデルを前提とした「家族への手当てを支給してやっている」という会社の“思いやり”は、家族を“人質”にとって男性社員を社畜化する“圧力”にもなる。

 会社が「家族を人質にとる」方法は、転勤問題にも関係している。株式会社カネカのパタハラ騒動でも話題になったが、社員の日常生活を無視し、地方への急な転勤を命じることは「いまどき珍しいブラック企業」でもなんでもない。「子どもが生まれた直後」や「家を購入した直後」の辞令も少なくないが、これは「家族のために会社を辞められない」タイミングだからだ。転勤や異動を拒否するなどもってのほか、なのである。

 クローバーフィールドのアカウントは「既婚でも子どもがいるかどうかで信用度は異なる」と投稿したが、この場合の「信用度」というのは、会社側が理不尽な要求や雑な扱いをしても抗議せず、言いなりになる社員かどうかという意味ではないか。残念ながら、同社だけが特別なわけではないだろう。

 たとえば二度の育児休業から復帰したあと、会社側から不当な扱いを受けたとして、38歳の男性社員が「アシックス」を告発したことも記憶に新しい。男性は「アシックス」を相手取り、不本意な配置転換の無効や慰謝料約440万円などを求めて東京地裁に提訴した。

 このニュースに対して「男性の側にも問題があるのでは」「会社は男が長く戦線離脱する前提で雇っていない」「優秀な社員だったら干されない」等、男性社員を非難する意見もネットでは多く上がっていることが確認できた。自らもただのイチ社員に過ぎないのに、会社に忠誠を誓い懸命に働くことこそが是であり、そうでなければ冷遇も止むなしだなどと会社側にのみ都合のいい理屈に納得してしまう、多くのよく飼いならされた人々の意識が垣間見える。

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「独身と子なしは信用できない」企業ツイートで炎上 日本型雇用の人質制度そのものの画像2 ウェジー 2019.06.14

 既婚者だろうが独身だろうが、有給消化が多かろうがゼロだろうが、人として丁寧に扱われる権利があるはずだろう。要するに、会社側が従業員を雑に扱いすぎていることが問題の根幹にある。そもそもの土台から変化すべき時代が来ている。

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