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「時間のない島」…ノルウェーの壮大なフェイクニュースと、日本の「早起きは三文の徳」

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ノルウェーのソマロイ(「Getty Images」より)

 「ノルウェーのソマロイ島に住む人々が、世界初の時間の概念のない場所“タイムフリーゾーン”を目指し時間撤廃法案の嘆願書を提出」——6月17日、こんなニュースが世界中の注目を集めた。

 BBC、CNN、ガーディアン紙、NYタイムズ紙などが報じた内容によると、「オーロラ鑑賞でも人気のある都市トロムソにあるソマロイは住民わずか300人の小さな島。そんなソムロイでは、“時間の概念がない島”を目指す活動“Let’s Stop Time”キャンペーンが住民によって行われており、うち100人が署名した嘆願書が町役場へ提出された。これが認められればソマロイは正式に世界初のタイム・フリーゾーンになる」ということであった。

 北極圏に位置するソマロイでは、5月から7月末までの約70日近く、白夜により太陽が沈むことがない。ソマロイの島民たちからは、「特に夏は時間を計る意味がまったくない」という声、また「現代人が抱えるストレスの原因には、時間によって行動が制約されていることも関係している。誰かに決められた時間によってではなく、自分の選択で人生を生きたい」という意見があがっており、このたび要望がまとめられたという。この活動を推進する目的で製作されたキャンペーン動画では、「あなたが家を午前2時にペイントしたいのであれば、してもよい。午前0時に草を刈りたいのであれば、それもよい。私たちは午前4時にだって泳ぎたいときもあるのだから」というメッセージを主張した。

 夏には日が昇りっぱなし、冬には暗闇に覆われる環境では、時間に従った社会的慣習があてはまらないという北極圏ならではの発想が基となったものではあるが、この報道には世界中から「ここに引っ越そう」「遅刻がない場所?天国じゃないか!」「この時代、人間が最も住むべきところだ」「時計がないって、そりゃあ不便なこともあるだろう。でも、“待ち合わせ時間はそのうちね”ってのも悪くないんじゃないかな」「わかる。そもそも人間って時計なしで暮らしていたんだよね」などと前向きな反応が寄せられていた。

 しかし約1週間後の25日、ノルウェーの報道各社によって、まさかの事実が明かされた。本報道は、国営の産業推進機関イノベーション・ノルウェーによるフェイクニュースだったのだ。その目的は、観光業が主要産業のひとつであるソマロイへ観光客を集めることであり、PR業者を使ってのキャンペーンだったという。しかし、予想以上の反響に驚いた観光事業局の責任者Bente Bratland Holm 氏は、「メディアを“だます”ような形にしたくはない」と判断し、事実の公表を決断。一連の流れは数多くのメディアによって報じられ、再び世界を驚かせた。

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