「時間のない島」…ノルウェーの壮大なフェイクニュースと、日本の「早起きは三文の徳」

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“早起きは三文の得”を覆した最新の研究

 ソマロイのフェイクニュースの一件によって、“タイムフリー”という新たな概念が注目を集めたが、そもそも現行の“定められた時間に従う”という生活習慣は、人体構造上、理にかなった行動なのだろうか?

 早起きして活動する“朝型”の人と夜に活動的になる“夜型”の人では、学校や職場の稼働時間の脳の働きが異なることが、イギリスの大学による最新の研究で明らかになっている。米国の学術誌「Sleep」で発表されたこの研究では、70万人に及ぶバイオバンクのデータベースをもとに、午後11時前に寝て午前6時半に起きる“朝型”の人と、午前2時半に寝て午前10時15分に起きる“夜型”の人の脳の働きを比べた結果、“夜型”の人の脳内では午前8時から午後8時までの時間帯において集中力を司る領域の活動が少ないことが分かった。研究チームは「夜型の人は典型的な勤務時間の制約で不利な状態にある。現状における社会の稼働時間は、夜型の人にとって体の自然なサイクルではない」と指摘。また、夜型の遺伝子を持つ人が早起きをすることへの健康に与える影響について、2型糖尿病、またうつ病や統合失調症などのリスクが高まると報告している。

 本研究に携わったFacer=Childs博士は、この結果を受け「時間をもっと柔軟に管理できる社会であれば、生産性を高めると同時に健康リスクを下げるという長い道のりを歩むことができるかもしれない」 とコメントしている。

日本にもライフスタイルの見直しを

 日本政府は昨年、2020年東京オリンピックの猛暑対策の一環としてサマータイムの導入を検討していたが、広範な分野でシステムを改修する必要があるため、2年後の実地は非現実的だとして見送られていた。今後は、オリンピックにかかわらずサマータイムにメリットがあるか否かを検討していくとしている。

 一方で、すでにサマータイム制度を取り入れていたEU加盟国では今年3月、2年後の2021年を持って同制度を廃止する法案を可決している。EU加盟国の多くは、1970年代の制度導入以降、毎年3月の最終日曜日に時計を1時間進め、10月の最終日曜日に戻している。しかし、欧州委員会がEU市民を対象にした調査では、84%の回答者が健康への悪影響や交通事故の増加などを理由にサマータイム制度に反対していることが判明し、欧州委が廃止を提案していた。

 “早起きは三文の徳”という諺もあるように、かねてより早起きを美徳とする風潮の強い日本。しかし、“朝型”と“夜型”の違いが遺伝的に定められていることを明らかにした先述の研究によれば、“三文の徳”を享受できるのは“朝型”の人々に限ったことだ。体内時計の周期に個人差があるのであれば、“朝型”や“夜型といった傾向は、身長の高低や視力の良し悪しと同じように体質的なものであるため、根性論で何とかなるわけではない。したがって、社会全体が一律に早寝早起きするというサマータイム導入案は、問題点が多いといえるのではないだろうか。  

 ソマロイで“Let’s Stop Time”キャンペーンを率いたHveding氏は、「時間ではなく自分の衝動に従った暮らしをすることで、あなたは“生きている”ことを実感するだろう」「私たち一人ひとりが自分の時間をどのように過ごし、どんな時間が最も価値があるかについてもっと考えれば、社会はより良いものになる」と語っている。

 日本でも、一部では時差ビズやテレワークなど時間に制限されない働き方が広まり始めている現在、“タイムフリーゾーン”とはいかないまでも、個人の身体的特性に合わせた多様なライフスタイルを検討していくべきであろう。

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