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就活売り手市場でも「月給25万に満たない求人が圧倒的に多い」人材紹介のプロが明かす若者就活事情

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「Getty Images」より

 内閣府は今月、16歳~29歳を対象に実施した「平成30年版 子供・若者白書」を発表。回答者の属性は、最多が「正規雇用(常勤)」(32.9%)で、「学生(高校生、専門学校生、大学生、大学院生、予備校生等)」(31.1%)、「非正規雇用(パート、アルバイト、労働者派遣事務所の派遣社員、契約社員、嘱託等)」(18.0%)と続く。「働いていない(求職中・家事手伝い含む)」(10.5%)属性は10人に1人だった。

 この中で「働いていない」と回答した若者の現在働いていない理由では、「希望する業種・職種での採用がなかったから(26.0%)という回答が最も多く、6年前の14.7%より10ポイント以上も増加していた。

 現在は深刻な人手不足で、独立行政法人「労働政策研究所・研究機構」の調べによると、2019年1~3月の有効求人倍率は1.63で、6年前の同時期(0.86)の2倍近く上昇している。求人数が圧倒的に増加しているにもかかわらず、「希望する業種・職種での採用がなかったから」との回答が増えているのはなぜか。

 第二新卒者やフリーターの就職サポートを展開している株式会社UZUZの川畑翔太郎氏に、若者の就職事情について聞いた。

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株式会社UZUZ/川畑翔太郎
1986年生まれ。株式会社UZUZ専務取締役。鹿児島出身で高校卒業後、九州大学にて機械航空工学を専攻し、住宅設備メーカーLIXIL(旧:INAX)に入社。1年目から商品開発に携わるも、3年目に製造へ異動。毎日ロボットと数秒単位で作業スピードを競い合う日々を送る。高校の同級生・今村からの誘いと自身のキャリアチェンジのため、UZUZ創業時に入社。現在はキャリアカウンセラーだけでなく、ウズウズカレッジ運営や広報・ブランディングを担当し、累計1,200名以上の就活サポートを実施。

「やりたいことを仕事にしろ」と煽られる

 川畑氏によれば、ふたつの要因が考えられるという。

川畑氏「ひとつは『有効求人倍率が上がったから』です。仕事の選択肢が増えたことで、求職者としても『仕事が選べるなら、やりたいことを仕事にしたい』という考えは強まっています。現場の感覚としていえば、5年前と今とでは、若者の就職への意識は全然違います。明らかに不景気だった時は、“就職すること=ゴール”でした。しかし最近は“やりたいことを仕事にする”がゴールになっていますし、求職者はすごくシビアに条件面を見るようになりました」

 これは劣悪な労働条件を提示するブラック企業の淘汰につながり、良い傾向と見ることもできるだろう。

 ふたつめの要因は「単純に、『やりたいことを仕事にしたい!』という機運が高まっている」ことにあると、川畑氏は言う。ただ、これは一概に“良い傾向”とは言えない。

川畑氏「『やりたいことを仕事にしよう!』というセリフってすごく耳障りが良いですよね。『自分の好きなことを仕事にしよう!』『お前ら今の生活で満足か!?』と煽ってお金儲けをする人達は増えています。

 オンラインサロンはその典型ですね。お金を稼いでいる人達が『自分もこの人みたいになりたい!』と思わせるようなセルフプロデュースをして、羨望の眼差しを向けさせる。そして、オンラインサロンを開設して、会員を増やして会費を集めていく……ねずみ講やMLM(Multi Level Marketing)みたいなモデルを作り上げています。

 健全なオンラインサロンも当然ありますが、そうではないオンラインサロンも出てきたことで、『やりたくない仕事に就く=負け』という意識を一部の若者に植え付け、やりたい仕事へのこだわりを強めているという側面があります」

 若いということは未熟でもあり、適切な判断力がはたらかないこともある。そこにつけこみ、無責任に「やりたいことをやろう」と煽る輩は少なくないわけである。

 一方で、せっかく「やりたい仕事」に就けたものの、残念ながらすぐに辞めてしまうケースも少なくないという。

川畑氏「“やりたいことに囚われてしまった”ことで、苦しんでいるケースを多く見ています。やりたい仕事のリアルなイメージができていれば良いですが、抽象的なイメージに囚われていると、いざ望み通りの企業に就職できても、漠然と思い描いていたイメージと現実の業務内容の違いに幻滅してしまう傾向にあります。働いていれば多少は理不尽なこともありますし、うまくいかないことに直面することは必然ですが、そういったシチュエーションで『思っていた仕事と違った』と。どんなに“やりたい”仕事であっても、良い面だけでなく悪い面はありますから、具体的なイメージができるようリサーチしておくことが大事です」

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