人気作家・曲亭馬琴となった佐七と、北斎の絵の手伝いと生活の面倒を見つづけて独り身のままのお栄は、ともに老齢を迎えたことで、歳の差を越えて心を通わせていきます。春画は高額の報酬が得られるため「お直」は協力に積極的でしたが、佐七とお栄がいたわり合う様子を目にした北斎は「こんなに美しいものはない」と、また新たな画風に目覚めていきます。もうお金を引き出せないと判断した「お直」は男と去り、お栄もついに北斎の横暴さに見限って佐七とともに北斎の下を出ていきますが、彼の臨終の際、その手を握ってくれたのは、戻ってきたお栄でした。
ときにはキツい言葉の応酬を交わしながらも北斎の才能を物心両面で温かく応援した佐七の木村は、誠実さと堅実さの表現がさすが。また、お栄の堺も、誰よりも北斎の絵の信奉者であり、だからこそゴーストライターの役割を納得して受け入れていたことの説得力と、そして父娘でありながら母親のような包容力との両立が秀逸でした。偏屈で怒鳴り散らしてばかりの老人である北斎が、けっして嫌悪するべき人物にみえなかったのは、横山の努力もさりながら、このふたりの技量と存在感が大きかったように思います。
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横山の舞台出演は、倉持裕演出「上を下へのジレッタ」以来約2年ぶり。倉持裕は小劇場から大規模な作品まで幅広く手掛け、演劇界での評価の高い劇作家・演出家です。そんな倉持や「北齋漫畫」演出の宮田という、演劇界での王道や本格派のクリエーターからコンスタントに声がかかるのは、役者として、彼らの厳しいめがねにかなったという証し。人気アイドルとしての活躍と、舞台人としての評価が両立できることは、演者はもちろんですが、アイドルファンにも演劇ファンにも、幸せなことだと感じるのです。