子育てのイライラ、どうする――誰かに「頼ること」のハードルを下げて

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――「自立とは依存先を増やすこと」という言葉もありますね。しかしながら、愚痴を外に出すことが苦手、あるいは自分が「辛い」と思っていることや、他人の言葉に支配されていること自体を受け入れられない段階にあったら……?

信田:自分を閉ざしている場合ですね。そういう人は非常に困った状態に置かれているといえます。「そんなことくらい親なんだからできて当然」「みんな頑張ってうまくやってるのに、なんで私だけできないんだろう」など、 自分を責めているでしょうし、誰にも助けを求められないわけですから、虐待にもつながりやすい。

「イライラする」「ひどい」「誰かに聞いてほしい」と思う自分が嫌だ、人に何かを言われて傷ついている自分自身が嫌だと思っている親は、自分の中にため込んで、子どもにぶつけてしまいます。

――誰かに依存できず、外部への接続もできない。そうした状態にある親自身が、何とかして殻を破るしかないのでしょうか。

信田:まずは自分の中にある「人に相談する」ことのハードルを下げたいですよね。人に相談できない親は、自分のこれまでの経験で、相談してもいいことがなかったり、人が信じられなかったりして、頼ることができないのだと考えられます。しかし、「相談」や「依存」はむしろ好ましいことであり、「頼ることはいいこと」なんです。

――人に頼ることは悪いことではなく、むしろ好ましいことだと。そのように発想の転換ができるか、ですね。

信田:そうですね。また、公的機関に子育ての相談をすることにハードルを感じている方は、親子で参加できるイベントに参加してみることをお勧めします。たとえば、図書館では子ども向けのおはなし会などが開催されています。公的機関に「相談に行く」「窓口に行く」となると構えてしまいがちですが、親子で楽しめる場所であれば、気を張る必要はありません。そういったイベントで場数を踏むことで、人に悩みを打ち明ける練習になるのではないでしょうか。

子どもの話を「我慢して聴く」訓練をして

――親がしつけのつもりで子どもに自分の価値観を押し付けたり、都合よくものごとが進まないイライラをぶつけたり、そうした親の行動が積み重なると、子どもとの信頼関係はやはり損なわれると考えられます。そうならないために、親自身がパートナーや友人、外部機関など第三者に相談し頼ることの重要性はよく理解できました。そのほか、子どもとの信頼関係を築くために有効な方法があれば教えてください。

信田:親子で話す時、親はまず、とにかく「ちゃんと聞く」ということをしなければならないのですが、なかなかそれができず、感情的になってしまう人が多い。まずは、子どもの言うことをちゃんと聞き「そうだったの」「うんうん」「そうなんだね」など、イエスでもノーでもない言い方で聞き、その上ではじめて親の意見を言う。そうすることで、子どもは「ちゃんと聞いてもらえた」と感じ固執しなくなることもあります。

子どもの意地になった自己主張は否定されると反発するものなので、親はあくまでも否定せずに聞いてほしいですし、「そうだったんだね」「なるほどね」と聞いているだけで、子どもの気持ちが変わっていくのです。

子どもの話を聞くことはできても、その後「つまりこういうことなんだよね」と結論を出してしまう親もいますが、勝手に決めつけたり、まとめてしまうのは暴力的です。子どもが言葉足らずであればそのままがいいです。ゆっくり話す子もいれば、感情的になる子もいますが、それを親が「我慢して聞く」訓練をするのです。

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