7月1日から第一種施設の建物内の完全禁煙が始まった。第一種施設とは、病院・医療施設、中央省庁・自治体などの行政機関、児童福祉施設、保育所、幼稚園、小中学校、高校、大学などをいう。
これは、2020年4月から全面施行される改正健康増進法の一部施行だ。また、2020年4月からは、第二種施設の屋内も原則禁煙となる。第二種施設とは、飲食店、ホテル、オフィス、商業施設、遊技場など多数の人が出入りする施設をいう。
都庁は敷地内も全面禁煙
東京都は、7月1日からの改正健康増進法の一部施行に合わせ、都庁本庁舎の6箇所の喫煙所を閉鎖した。改正健康増進法では、行政機関の屋外喫煙所の設置は可能だが、都庁は敷地内も含めて全面禁煙とした。小池百合子都知事は、受動喫煙対策と同時に職員の禁煙サポートにも取り組むと表明した。既に実施している医師のカウンセリングや禁煙外来の紹介や、専門講師による禁煙講習会も合わせて行っていくという。
東京都の北区役所は、8箇所の喫煙所を閉鎖し、新たに屋外に喫煙所を設置した。屋外の喫煙所の条件としては、施設の他の利用者が通常立ち入らない場所に設置、喫煙可能の標識の設置、禁煙区域との明確な区画がある。これに沿う形で、北区役所の喫煙所は、建物と建物の間の目立たない場所に設置された。
改正健康増進法では、禁煙区域の灰皿を撤去するなどの対策を怠った場合、施設の管理者は50万円以下の過料、禁煙場所で喫煙し、施設の管理者の注意に応じず喫煙を続けた場合などは、30万円以下の過料になると定めている。
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、日本中で禁煙化の動きが加速し始めている。
国際オリンピック大会の禁煙方針
国際オリンピック委員会(IOC)は、1988年のカルガリーオリンピック大会で禁煙方針を採択した。また、2010年には、国際オリンピック委員会(IOC) と世界保健機関(WHO)は、健康的なライフスタイルとたばこのないオリンピックを目指す合意文書に調印している。
1988年のカルガリー大会以降、各大会では屋外の指定エリア以外の会場内の禁煙が進んできた。2018年の平昌冬季オリンピック大会では、屋内屋外の禁煙が実施された。
2020東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会は、大会期間中、すべての競技会場や練習会場、敷地内を、加熱式たばこを含め、全面禁煙すると決定した。2018年の平昌冬季オリンピック大会では、敷地内にスタッフ用の喫煙室が設けられていたが、2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会は、敷地内を含む屋外も全面禁煙となる。
世界標準である屋内施設の禁煙
2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会の屋内屋外での全面禁煙の決定は、評価できるものだ。しかし、一般の屋内施設の禁煙については、日本は世界標準から遅れをとっている。最近のオリンピック大会開催は、飲食店などの屋内施設を全面禁煙とする受動喫煙防止法がある国で行われる慣例になっているのだ。
2012年のロンドン大会は、飲食施設を含む屋内の職場を全面禁煙とする法律の施行後、開催された。2014年のロシアのソチ大会では、屋内施設を全面禁煙とし、公園やビーチでの喫煙は指定場所以外は禁止とする「たばこのないソチ憲章」を採択している。
このようにオリンピック大会開催国での屋内施設の全面禁煙化は、いまや世界標準になっている。この慣例に合わせて、日本もオリンピック前に禁煙化が急ピッチで進められているのだ。
コンビニ店頭の灰皿撤去
セブンイレブンジャパンは、2018年12月、東京都内のフランチャイズ加盟店に店頭の灰皿の撤去を要請した。灰皿を撤去するかどうかの判断は、各加盟店に委ねられているが、着々と進んでいる。
ローソンとファミリーマートでは、路上喫煙禁止条例のある区域内は、原則的に灰皿を撤去している。それ以外の地域では、入り口から離れた場所に灰皿を設置するまたは撤去するなど、受動喫煙対策に取り組んでいる。
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