生理痛をインフルエンザだと勘違いされた~女性の身体への無理解を痛感したエピソード

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「Getty Images」より

 G20大阪サミットで“テロ対策”の一環として駅のトイレからサニタリーボックスが撤去されたり、消費税の引き上げに伴って実施される軽減税率の制度で“生活必需品”のはずの生理用品が対象外となっていたり……生理(月経)をめぐる不可解な事象が日々、話題となります。

 プールの授業で女子生徒に生理何日目かを申告させる学校。女子学生が企業の面接官から「生理なの?」と質問される“就活セクハラ”。過去一カ月さかのぼるだけでも、枚挙に暇がありません。

 これら諸問題の背景には、「生理」とは何なのか、正しく理解されていないことがあるでしょう。もちろん女性の身体も千差万別であり、「私は生理が軽いから平気」な女性から、「私は死にたくなるほど重い」な女性まで、非常に幅は広いです。問題は、そのことも含めて、「生理への無知や無理解」がこの社会に蔓延していることではないでしょうか。生理は「エッチなこと」でも「恥ずかしいこと」でもないのに、その本質を覆い隠され、様々な誤解を生み続けているように思います。

 本サイトで「先生、“男らしさ”って本当に必要ですか?」を連載している恋バナ収集ユニット「桃山商事」の清田代表による新刊『よかれと思ってやったのに──男たちの「失敗学」入門』では、清田代表が男性当事者の目線から「女性の身体に無理解な男たち」という問題を考察しています。

<生理に限らず、妊娠、つわり、婦人科系のトラブル、美容やダイエット、性にまつわることなど……我々男は女性の身体のことに関してあまりに無知だと言わざるを得ません>

 清田代表の新刊より、「女性の身体に無理解な男たち」にまつわるコラムを先行公開します。

生理痛をインフルエンザだと勘違いされた女性

「私は派遣社員として働いているのですが、生理痛がつらくて会社を休んだところ、『この季節ですからインフルエンザの検査を受けてください』と電話がありました。電話は、男性上司の指示を受けた新入社員の男性からでした。風邪ではないし、インフルエンザとはまったく関係ありませんと伝えたのですが、『規則ですから』の一点張りで聞き入れてもらえず……頭に来たので人事部にクレームを入れました」

 これは以前、桃山商事が女性向けのウェブメディアでコラム連載をしていた際、読者から「男に対する不満や疑問」をアンケートで募ったときに寄せられた声のひとつです。私は男性で、会社勤めをしているわけでもないので、このエピソードがどの程度あるある話なのかは正直わかりません。単に指示を出した男性上司が女性の生理に理解がなさすぎただけなのか、あるいはさまざまな会社で頻繁に起こっていることなのか、そこは判定できないのですが、この女性が受けた仕打ちは極めてひどいものだと思います。生理だと言っているのにインフルエンザの疑いをかけられ、上司から検査まで強要されるとは……本当に理不尽だし、ある種のハラスメントにすら抵触しかねない問題です。

 しかし、これを高みのポジションから一方的に批判できる男性はどれだけいるでしょうか。というのも、この話の根底には「女性の生理に対する無理解」がありますが、これはおそらく多くの男性に共通するものだと思うからです。

 生理に限らず、妊娠、つわり、婦人科系のトラブル、美容やダイエット、性にまつわることなど……我々男は女性の身体のことに関してあまりに無知だと言わざるを得ません。他にも女性たちからはこのような事例が報告されています。

・生理で体調悪いときに、職場の男性たちが冷房をガンガンに効かせるのがつらい
・妊婦のとき、同僚男性たちが席で食べる弁当やカップ麺のニオイがつらかった
・彼氏はセックスのとき手や腰を激しく動かす。痛いだけだからマジやめて欲しい
・夫のマッサージはありがたいんだけど、強さが男性基準だから痛いし怖い
・会社のスケジュールが男性社員を基準に設計されている感があり、モヤモヤする

 さて、いかがでしょうか。私も生理痛やPMS(月経前症候群)のことを理解しておらず、妻や過去の恋人に不愉快な思いをさせてしまったことが何度もあるので、身につまされます。事例には職場の話からセックスの悩みまで幅広いエピソードがありましたが、根底には共通の問題が存在しているように感じます。それが「女性の身体に関する無知や無理解」と言うべき問題です。

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