生理痛をインフルエンザだと勘違いされた~女性の身体への無理解を痛感したエピソード

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「想像力の欠如」がもたらす悲劇を防ぐためには

 話があちこちに広がってしまいましたが、これまでの話は以下のようにまとめることができると思います。

(1)悪気がなくても、相手を嫌な気持ちにさせてしまうことは往々にしてある
(2)そのほとんどは「想像力の欠如」によって生じている
(3)こと女性の身体に関しては、想像力の母胎となる「知識」から不足している

 こう考えると土台にあるのは知識不足ということになりますが、では、その知識とは一体なんなのか。これには2種類あると考えていて、ひとつは「科学的な知識」、もうひとつは「相手に関する知識」です。

 ふたつの違いについて、生理を例に考えてみます。『月経のはなし』(武谷雄二著、中公新書)という本によれば、月経とは「妊娠の準備状態を作り出すために起こる生理現象」だと言います(それゆえ、婉曲表現として「生理」という名称が用いられているそうです)。まず脳から「卵を作れ」という指令が出て、それを受信した卵巣で実際に卵が作られる。そして今度は、卵巣から子宮に「卵を置くためのベッドを作れ」という指令が出て、子宮内膜という細胞のベッドが生成される。これがあるタイミングまでどんどん厚みを増していくそうです。

 卵は成熟すると卵巣を飛び出し、子宮へのパイプである卵管へと移動します。ここで精子と出会えれば、「受精卵」となって子宮内膜に降り立ちます。これが「着床」と呼ばれる現象です。ところが、受精卵ができなかった場合、あるいは受精卵がうまく着床できなかった場合、ふかふかに厚みを増したベッドを身体が「不要」と見なし、子宮内膜は体外へ排出されることになります。これが月経と呼ばれる現象で、このサイクルが周期的にくり返されていきます。

 ものすごくざっくりではありますが、これが生理のメカニズムであり、先に挙げた「科学的な知識」として生理を知るとはこういうことになると思います。

 では、もう一方の「相手に関する知識」ですが、これはつまりその人の状態を知るための情報です。生理による影響はとても個人差の大きなものだそうで、ホルモン環境がくるくる変動したり、排出時に子宮内の筋肉が収縮したりと、月経をめぐって体内でいろんなことが起こるわけですが、これに伴い、頭痛や腹痛、腰痛や発熱、下痢や貧血、さらにはイライラやうつ症状など、身体的、精神的にさまざまな影響が出ると言います。これらは人によっても、また時期によっても異なるため、「生理のときはこうなる」と一概に言えるものではないそうです。となると、仮にメカニズムを理解していたとしても、目の前の女性がどんな状態なのかは直接聞いてみないとわからない、ということになります。これを知るための情報が「相手に関する知識」です。

 我々男性は身体的に生理を理解することはできませんが、こういった「科学的な知識」と「相手に関する知識」は入手することができるはずです。それらがあれば、少なくとも会社に来られないほど生理痛がきつい女性に対して「インフルエンザの検査を受けてください」などという心ない言葉は発しないはずだし、たとえ自分が職場を暑いと感じていても、ガンガン冷やす前に「冷房を強めたら寒いですか?」と周囲の女性に聞いてみる姿勢が生まれるはずです。

 これは他のことでも同じで、例えば女性の膣が粘膜で覆われた繊細な器官(口の中と同じような)であることを知れば、相手が痛がるような激しい触り方はしなくなるだろうし、ヒールによって脚にかかる負担のことを想像できていれば、いくらサプライズの企画であっても、服装に関する気づかいをもう少し細やかにできたかもしれません(もっと話を広げれば、会社や社会の制度を設計する立場にある人に十分な知識と想像力があれば、仕事や暮らしの環境もよりよいものになると思うのですが……)。

 いずれにせよ、悪気はないのに無神経だと思われてしまったり、それによって苦しめられる人が生まれてしまうのは、男女両方にとって不幸なことであるはずです。それを防ぐためにも、まずは想像力の母胎となる知識を学ぶところから始めてみませんか?

生理痛をインフルエンザだと勘違いされた~女性の身体への無理解を痛感したエピソードの画像3

職場の冷房をガンガンにする男性に殺意……(イラスト:死後くん)

 

 

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