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ペットや害虫からもらうウィルスに要注意。身近に存在する動物由来感染症の怖さ

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「Getty Images」より

 動物から人間へうつる病気の総称を、動物由来感染症(ズーノーシス)という。狂犬病やエキノコックス症、鳥インフルエンザなど、把握されているだけでその数は200種類以上。これらの中には治療方法が確立されていないうえ、人に感染すると一気に広がり甚大な被害を及ぼす疾患もある。重症急性呼吸器症候群(SARS)やエボラ出血熱、中東呼吸器症候群(MERS)などがその典型だ。

 ペットブームや都市開発、ライフスタイルの変化などさまざまな影響により、以前にも増してヒトと動物の距離は短くなった。ほとんど家族のようにペットと寝食を共にする人も多いだろう。しかし、ヒトと動物は根本的に異なる。未知の感染症や突然変異による新たなウィルス・細菌誕生の可能性も踏まえ、適切な距離を保って接することが肝要だ。

ペット媒介の病気は多い

 現代の日本は、ペットの数が子どもの数を上回るほどのペット大国だ。ペットフード協会によると、2018年時点の犬・猫推計飼育頭数は全国で1855万2000頭(犬890万3000頭・猫964万9000頭)にものぼる。

 王道の犬・猫はもちろん、ハムスター、金魚、熱帯魚、小鳥、うさぎなども根強い人気を誇る。昨今は好みの幅も広がり、爬虫類や両生類などエキゾチックアニマルの飼育数も増えてきた。動物由来感染症ハンドブックを作成する厚生労働省は、「どんな動物と接する場合も、触れたら必ず手を洗い、過度なスキンシップは控えること」と注意を呼びかけている。

・犬
 致死率99%の狂犬病は世界的に見ると恐ろしい動物由来感染症だが、国内では予防接種の義務化と検疫体制の確立により駆逐された。犬の飼育で注意したいのは、回虫症やエキノコックス症など、寄生虫に襲われる感染症だ。回虫症は子どもがかかりやすい感染症として知られるが、大人でも感染する可能性は充分ある。

 寄生虫は犬、猫の糞便に着いた虫卵が人間の口に入ることで感染する。体内で孵化した寄生虫は眼や内臓へ移動し、炎症を誘発。エキノコックス症の場合、重症化すると肝機能障害を引き起こす。ここまで進行すれば病巣を切除するなど大掛かりな治療が必要となる。

 寄生されても自覚症状はほとんどなく、体調不良を感じる頃には内臓や器官を深く浸食されているという厄介な疾患だ。感染しないためには、手洗いの励行、ペット健診の徹底などが有効。

・猫
 猫に引っかかれて感染する「猫ひっかき病」は、ネコノミが原因。猫に引っかかれなくても、ノミに刺されて感染するケースもある。発症するとリンパ節の腫れ、悪寒、発熱などの症状を伴う。猫の爪を切る、ネコノミの駆除などが予防となる。

 猫の糞便から感染するトキソプラズマ症にも要注意。健常者の場合、感染してもほとんど症状は現れないが、妊娠中の女性は流産や死産を引き起こすリスクもあり、細心の注意が必要。トキソプラズマで汚染された土や糞に触れなければ感染しないため、糞をすぐ片付けることが大きな予防効果を生む。

・小鳥
 小鳥の飼育では、「オウム病」感染のリスクが懸念される。オウム病の感染ルートは鳥の糞便からで、発症すると高熱、咳、痰などインフルエンザに似た症状が起こり、重篤になると意識障害や呼吸困難を引き起こす可能性がある。鳥の繁殖時期にあたる春~夏にかけてがもっとも感染リスクが高い。速やかに糞を片付ける、口移しで餌を与えないなどの予防が効果的。

・爬虫類
 爬虫類の飼育で注意しなければならないのが、「サルモネラ症」だ。豚、ニワトリ、牛などの家畜類が持つことで知られるサルモネラ菌。保有率がもっとも高いのは、蛇やトカゲなどの爬虫類と言われる。中でもミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)から菌をもらって発症する事例が多く、特に小さな子どもへの感染が目立つ。

 主な症状は発熱と胃腸炎。急な体調不良を感じたらすぐに病院で診てもらおう。7月から9月にかけて多くの発生報告があり、この時期は食中毒シーズンと重なる。予防方法は、爬虫類のペットに触れたら手をよく洗うこと。水槽の水取り換えは台所では行わないこと、などが挙げられる。

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