ペットや害虫からもらうウィルスに要注意。身近に存在する動物由来感染症の怖さ

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夏は殺人ダニに要注意

 動物由来感染症は、小さな虫が発生源になることもある。ここ最近多いのがダニによる被害で、繁殖期にあたる夏は特に注意しなければならない。

 体長3~4㎜、家ダニよりずっと大きいからだを持つ「マダニ」は、山や河川、堤防などの草地に生息。分布は日本全国に及ぶ。二酸化炭素や体温、振動から動物の存在を敏感にキャッチし、肌に深く牙を食い込ませて固着する。噛みついたら一週間は離れず、血を吸い続けるという。マダニの唾液には麻酔物質が含まれるため、噛みつかれても気づかないことが多い。血をどんどん吸って巨大化したところで、ようやくダニの存在に気づくことが多いという。

 本当に怖いのは噛まれることではなく、各種の感染症を誘発するリスクだ。「日本紅班熱」「ライム病」「重症熱性血小板減少症候群SFTS」などの怖い感染症ウィルスが、知らない間に血液へ送り込まれる。特に「重症熱性血小板減少症候群SFTS」は致死率6~30%と高く、日本でも死亡例が確認されている危険な疾患だ。初期症状として嘔吐、下痢、頭痛、悪化すると倦怠感やリンパ節の腫れ、出血などを伴う。重症化すれば意識障害を引き起こし、最悪死に至るケースもある。

 マダニは、20㎝以上の草が伸びる場所であれば、どこでも生息すると考えたほうがよい。レジャー目的で山や河川の草地に足を踏み入れる際は、長そで・長ズボン、帽子、手袋を着用し、肌をしっかりガードしておこう。

 「SFTS」は、ダニに噛まれた動物や人からの接触感染も報告されている。2015年、50代の女性が世話をしていた野良猫に噛まれて「SFTS」を発症、数日後に死亡が確認された。野良猫はマダニからSFTSウィルスをもらっていた可能性が高い。ダニに噛まれた犬・猫から感染する可能性もあるため、ペットの体調もよく観察し、異変を感じたら速やかにかかりつけの獣医に診てもらおう。

高齢者、妊婦、抵抗力が弱っている人は細心の注意が必要

 実のところ、動物由来感染症の多くは人に感染しても症状がほとんどないか、軽い症状で済むことが多い。また、症状が風邪と酷似しているものもあり、動物からウィルスをもらったことに気づかずやり過ごす例も見られる。まだ若く体力もある人なら軽度の症状で済むかもしれないが、抵抗力が弱い高齢者や小さな子ども、妊婦の方は重症化のリスクも考えられるため、対策が特に重要となる。

 2016年には、コリネバクテリウム・ウルセランス菌(CU菌)感染症を発症した福岡県の60代の女性が死亡する事例が発生した。猫や犬のくしゃみからうつる感染症で、重症化すると呼吸困難で最悪死に至ることも。女性は野良猫3匹を世話していたといい、このうち一匹からCU菌が検出された。女性はこの猫からCU菌をうつされた可能性が高い。

 CU感染症は感染症法規制の対象外で、医療機関から役所への届け出が義務付けられていない。国立感染症研究所によると、2017年11月までに25人のCU感染症が報告されたというが、実際にはもっと多くの患者が存在するかもしれない。そのほとんどが、犬、猫から感染した疑いが濃厚だ。

 厚生労働省は、動物由来症が増えた背景のひとつとして、「抵抗力の弱い高齢者など、感染を受けやすい人々の増加の影響」と指摘している。抵抗力が弱いと、動物由来の病原菌に太刀打ちできない可能性が高いのだ。手洗いの励行と適度な距離とともに、夏場でもしっかり体力を保つことも重要な予防対策と言えるだろう。

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