BTSを通して触れる“多様性” 7人が世界と世界をつなぎ、人々は文化的境界を越えていく

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 日本人(とユダヤ人)なら誰でも知っている通り、より政治的な件もある。原爆Tシャツに関しては……わたしとて、趣味がいい服だとは決して思わない。とはいえ、1945年までの何十年も朝鮮半島を植民地支配してきた日本が、あの時代のことを負い目なしに語れるとも思えないのだ。(参照→今こそ考える「原爆Tシャツ」のこと。そして贖罪と、「存在しない正義」について

 韓国人を見ると反射的に「反日!」と叫ぶ人は、あのTシャツ事件の前からたくさんいた。しかし、「そんなに反日なら、なぜ防弾少年団は日系人のスティーヴ・アオキと3度もコラボレートしたのか?」と問いたい。もっとも、スティーヴは革命的反帝国主義同盟(Revolutionary Anti-Imperialist League)という団体の支部長を務めていた超絶左翼なので、連中から見たら「やっぱり反日だ!」ということになるのかもしれないが。

BTSが成し遂げた「アジア人/アジア系男性」としての偉業

 アメリカの人気トーク番組に『The Ellen DeGeneres Show』、通称『エレンの部屋』と呼ばれるものがある。その番組にBTSが初出演した際の「MIC Drop」のパフォーマンスは画期的だ。

 「多様性」とは、場内を埋め尽くす女性ファンのためにあるような言葉だろう。アフリカ系、ラテン系、白人、そしてもちろんアジア系。この多様なオーディエンスが、シュガのパンチライン「ミヤネ、オンマ~(ごめんね母さん)」を大合唱する様子は……当方、勝手に感無量だった。

 これが画期的な理由:アジア人/アジア系男性の集団が、多様なオーディエンスに満場一致でattractiveと認められた、近代以降でたぶん初めての瞬間だからだ。

 この世の中にはいろいろなヒエラルキーがある。権力、体力、学力、等々。その中で無視できないのは、attractiveness(魅力)のヒエラルキーだ。この何百年か、欧米主導の世界にあって、我々アジア人/アジア系の男性は、魅力ヒエラルキーの最底辺に位置付けられてきた。なのに、そんなエイジャンの男性7人が、多様な人種の女性たちをキャーキャー言わせているさまは……感無量と言わざるを得まい?

 さらには、今年の年初にはアメリカを代表する玩具会社、「バービー人形」のマテル社からBTS人形が展開されることが発表に! これまた、アジア人/アジア系男性のレプリゼンテーションとして破格の躍進と言えるだろう。

 実物写真が公開された時に感じた、ある種の衝撃はまた別だが。

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