南山「また、生まれ変わってやり直しをするために簡単に自死を選ぶ人が出てくるのではないかと危惧をする人もおられます。私も昔は、今回の人生は失敗したから早く死んで生まれ変わりたい、やり直したいと思っていました。自殺未遂者でもあるので、気持ちが理解できないわけではありません。しかしその考えにいたるまでには生育歴やトラウマなど、経験から作られた心の傷との葛藤を抱えながら生きていたので、『あ、いやだな。やーめた』というような簡単で単純なものではありませんでした。そういった点も、どんどんおかしなニュアンスに変わっているような気がします。
もともとの池川先生は、人を疑わずに受け入れてくれる心の広い方でした。だから、生きづらい人やお産を自分のやりたいようにしたいという方には、心強い存在だったでしょう。ところが胎内記憶映画が広まって講演活動が増えるに従って、変わられてしまったのです。そしてお産を辞められてからは、特に命の問題を簡単に軽く面白く扱いすぎているように思えてなりません」
池川氏、のぶみ氏へと広がる世界へ危惧
臨床医から胎内記憶の布教活動へとステージを変えたご様子の池川氏。氏の著書は発行年度が新しいほどスピリチュアルテイストの話題が満載になっていくので、日本における胎内記憶は今や、トンデモ科学から「ボクの考える幸福論(ただし幸せな大人限定)」に変わりつつあります。
南山「事実を大切にして、それを語る子どもは何を感じているのかということよりも、胎内記憶というものを世界に広めることしか頭にないようです。実際、胎内記憶協会を立ち上げられたときに『これは世界に持っていくから、みどりさんも一緒に行こうね』とお誘いを受けました。レイキヒーリング(注1)のように外国から逆輸入されるものに日本人は弱いですから。こんなエピソードもあります。お子さんの発達に悩んでいらっしゃる方が池川クリニックで相談をしたところ、先生は『学校なんか行かなくていい』『気にしすぎ』『子どもはそんなもの』そして『お母さん僕の講座に来なさい』と言われたそうです」※注1・手当・エネルギ―を用いた、民間精神療法の一種
非公開: 絵本作家のぶみが説く『かみさま試験の法則』は自己責任論につながっている?
人気の高い絵本作家のぶみ氏がこれまでリリースしてきた絵本の内容には、子どもに対する脅しや、母性神話の再生産が含まれていることは、これまでにも何…
私が講演会で見かけた池川医師は、「怪談記事に載せられちゃってね~」なんてこともニコニコ語る好好爺という印象でしたが、近しかった南山さんの話を聞くにつれ、「トンデモ界のミスター無責任」と呼びたくなるエピソードばかり。その適当さは、虐待を語ることにも表れています。