社会

ホリエモン「税金泥棒」論を熱狂的に支持する人は「お金持ち」なのか? 中間層の大きな分断浮き彫りに

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 年金の老後2000万円不足問題をきっかけに、富の再分配への関心が高まっている。以前から、社会の富をどう分けるのかについてはさまざまな議論があったが、このところ自己責任論が台頭しており、強制的な再分配は必要ないとの意見が増えているように見える。

 だが、ネットを中心に拡大している自己責任論には大きな落とし穴がある。ホリエモンが年金デモ参加者に浴びせた「税金泥棒」という言葉は、まさにこれを象徴している。

自身の立場を悪化させる主張に賛同する人たち

 年金2000万円問題を受けて6月16日に東京で行われた「年金払えデモ」について、ホリエモンこと堀江貴文氏が「税金泥棒」と批判したことが波紋を呼んだ。堀江氏はTwitterで、年金デモの参加者に対して「バカばっか」「ほんとそんな時間あったら働いて納税しろや。税金泥棒め」と発言。

 このツイートに批判が寄せられると、今度は「お前相変わらず行間よめねーんだな。親切に教えてやるよ。このデモに参加している奴の大半は実質的に納税している額より給付されている額の方が多いんだよ。それを税金泥棒って言ってんだよ」と反論した。

 おそらくだが、ホリエモンが発した「税金泥棒」という言葉は、単に相手を罵倒するためのものであり、納税額と受給額の差分に関する明確な意図はなかったと思われる。権利を声高に主張することについての漠然とした嫌悪感があり、抽象的な表現として「税金泥棒」になったと考えるのが自然だろう。

 だが、ホリエモンの「税金泥棒」発言は、完全に言葉の綾なのかというと、そうとも言い切れない部分がある。ホリエモンはまさにその典型だが、経済的な成功者を中心に、日本の国民負担は高額所得者に偏っており、中間層以下が優遇され過ぎているという不満の声があり、この主張は一定の支持を集めている。

 しかも不思議なことに、こうした主張を支持している人の大半は、現実には、成功者から過度な優遇を批判されている中間層以下の人たちである。

 そもそも日本で年収1000万円を超える給与所得者は4.5%しかおらず、全体からすればごくわずかである。ツイッター上では、ホリエモンの発言を熱狂的に支持する人も多かったが、彼らが皆、高額所得者とはとても思えない。つまり、自身は経済的に豊かではないにもかかわらず、社会で優遇されている自分たちの利権を取り上げろと主張している成功者を熱狂的に支持している図式になる。

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