吉野家の客単価はなぜ上がっているのか 「超特盛」「高価格メニュー」を頼みたくなる理由

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単価アップその2:高価格メニューのヒット

 つい最近、猛烈に吉野家の牛丼が食べたくなり、都内のビジネス街の店舗に足を延ばした。

① 牛丼並盛+生野菜サラダ+野菜みそ[SN1] 汁

② アタマの大盛※+生野菜サラダ+野菜みそ汁

※「アタマの大盛」は、ごはんの量は牛丼並盛と一緒で、肉は大盛と一緒のメニュー

 入店すると、このようなメニューがいくつか大きな紙に書き出され、掲示されている。

 最初は、昼時は定食しかない店舗なのかと思った。吉野家は通常、牛丼は定食扱いしていないこともあり、意外に感じたのだ。しかし、すぐに卓上に下敷き状のメニューを発見する。「並盛」単品があるのか尋ねようかと思ったが、並盛380円に「生野菜サラダ」と「野菜みそ汁」で150円、計530円と高くないし、健康的かと思い「1番」とオーダーした。

 平日の12時台。筆者以外、主に推定40代以上の男性で馬蹄型のカウンターが埋まっている。食べながら、後続の客のオーダーをなんとなしに聞いていると、「牛丼並に半熟玉子」といったように定食以外や「2番」などを頼んでいる人もいたが、「1番」が半分以上を占めていた。

 若干強制的な面も感じたが、サイドメニューがなかなか美味しかったし、生野菜とみそ汁に入った根菜が摂れて、全体の栄養バランスがそれなりによいのではと満足した次第だ。

 もしかしたら牛丼並盛とサイドオーダーを一緒に頼む人が多かったことからこのようなシステムを取った可能性もあるが、お店レベルでもこういった工夫で客単価が上がる。実際、変わった食べ方の提案なども含めたサイドメニューの推進による単価アップ戦略は、マーケティングの専門家である同社常務の伊東正明氏も明言している(参考:稼ぐ戦略)。

味付けの変更も単価アップ戦略の一環か

 外食産業にはつきものであるが、吉野家についても、「味が薄味になったのではないか」「肉の量が減ったのではないか」といった意見がネット上で散見される。筆者も、味の変化があったのか、個人的な味覚の変化のせいか、いつの頃からか並盛にすると肉を先に食べ終わってしまい、ごはんが余ってしまうようになった。今回もそうだった。

 吉野家は、昔ながらの味を保つのではなく、肉の量や味付けに適宜変更を加えている。2011年5月、牛丼並盛の肉の量を85gから90gに増量した。逆にごはんの量は260gから250gに減量。アンケートや試食からユーザーの声を聞き、戦後60年もの間、手を付けられていなかった肉とごはんの量を現代の最適なバランスに合わせたという。肉は減っているのではなく、むしろ増えたということだ。

 2013年4月には肉の種類を変更。この年はさらに手を加え、牛肉のうまみ成分を引き出すために熟成期間を延長した。たれに関しては、白ワイン、ショウガといった材料と配合の割合を見直した。また、甘さを補うために玉ねぎを増量した。2014年3月の1回目の牛丼並盛値上げ時も、味の改良を進めると宣言した。

 牛丼は商品の性質上、味付けの均一化を目指しても、必ずしも常時同じにはならない面もある。調理の際、鍋を入れ替えることはなく、肉がなくなれば(20分をめど)、新たな肉を鍋に追加して煮上げ、全体を撹拌するというやりかたをとっている。煮詰まってくれば水を足して調整するため、煮る時間が短かければあっさりした味になる。同じ店舗内でも時間帯によって味が違い、昼時は味が安定しやすく、空いている時間は濃い目になるといった記事も出ているほどだ。ごはんや肉の量に関しても、機械が盛っているわけではないので、多少の誤差は出てくる。

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