教員の働き方の現状を発信しているツイッターアカウント「限界teachersの会(仮)」。教育現場で働いている人達などの嘆きを代弁する形式で運用されている同アカウントだが、7月8日に教育実習生が実習先で受けた仕打ちに関するツイートが大きな注目を集めた。それは以下の内容である。
「公立中学へ教育実習に行きました。朝7時半までに来てお茶汲みをするように言われました。
・80人分のお茶を用意
・記名のないマグカップを誰先生の物か暗記
・緑茶がダメな先生にはほうじ茶を私は3週間でしたが、いつもは若い女の先生のお仕事だそうです。私に学校の先生は無理だと思いました。」
— 限界teachersの会(仮) (@teacher42786417) July 8, 2019
<公立中学へ教育実習に行きました。朝7時半までに来てお茶汲みをするように言われました。
・80人分のお茶を用意
・記名のないマグカップを誰先生の物か暗記
・緑茶がダメな先生にはほうじ茶を
私は3週間でしたが、いつもは若い女の先生のお仕事だそうです。私に学校の先生は無理だと思いました。>
教員免許を取得するべく教育実習先で現場を学びに行ったにもかかわらず、疑問を抱くような雑用を押し付けられる日々が続いたようだ。
また「いつもは若い女の先生のお仕事」とあるが、教員の長時間労働はかねてより問題視されている。定時で終われない原因は部活指導や進路相談、授業準備など様々な業務に追われていることが挙げられるが、膨大な業務の中にこのような“先生のための雑用”まで含まれているとしたらやりきれない。
教育実習先での理不尽な扱いは多数報告されているという。教師の労働環境の改善に取り組む学生団体「Teacher Aide」の東京支部代表を務め、実際に教育実習も経験した現役大学生の石原悠太さんにその現状を伺った。
「最近の学生はダメだな」と教師に言われた
石原さんはツイートにあったような「雑用を押し付けられた」という声はあまり聞かないものの、教育実習中に教員から精神的苦痛を与えられたとの訴えは少なくないと話す。
石原さん「教育実習生は授業の指導案を担当教員に毎日チェックしてもらう必要があります。その際に教師から厳しい言葉を投げかけられ、精神的苦痛を受けたという教育実習生は多いです。もちろん、指導案に対するアドバイスは必要ですが、それが適切でない。『こんなのダメだ!』と高圧的な口調で一方的に突き返されたという話をよく聞きます。その中には『最近の学生はダメだな~』といった、人格否定の言葉を投げられるケースも少なくありません」
生徒を導く立場でありながら、「最近の学生」への雑なダメ出し。それでは教育実習生も育たないのではないかと思わされる。そうした言動以外に、長時間の拘束も問題のひとつだという。
石原さん「“学校から帰してもらえない”という訴えがよく上がります。朝は実習先の担当教師よりも早く来る必要があって、7時半までには学校に着いていなければいけない。にもかかわらず、夜も終電まで学校に残る、ということが珍しくありません。
実際、僕も過去に教育実習をした時には、担当教師に翌日の授業の指導案の作り直しを何度も何度も命じられて、23~24時まで学校に残っていました」
石原さんは、「僕達のために夜遅くまで付き合ってくれる先生もいる」とフォローする。適切なアプローチに徹し、将来の教育を担う実習生に対して熱心に指導する教員ももちろん多くいるはずだ。
一方で、残念ながらハラスメント行為が横行しているとの報告も届いているという。
担当教師に食事に誘われる
教育実習生は実習先の学校に“行かせていただいている”立場だ。現場における立場は弱く、理不尽な指導に反論することも難しいため、ハラスメントに遭いやすい環境下にあるという。中には、教育実習生の弱い立場を利用して、女子学生にセクハラする教師もいる。
石原さん「女性の実習生が担当教師に食事に誘われ、困っているという話も多いのです。実習生側には今後の教育実習を円滑に進めたいという思いがあるので、断ることができず渋々承諾するものの、本音では困っているというケースが多いです」
セクハラ被害に遭うのは女子学生だけではない。
石原さん「意外と思われるかもしれませんが、男子学生も実習先でセクハラ被害に遭っています。セクハラについて多少は理解が広まっているとはいえ、『男性だから大丈夫だろう』と考えて悪気なく男子学生に下ネタを振ってしまう。そういう話題を振られても抵抗のない男子学生がほとんどだという実感もありますが、苦手な人も中にはおり、精神的苦痛や不快感を覚えています」
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