京アニ放火殺人「犯人は?」「動機は?」 大量生成されるトレンドブログ問題

【この記事のキーワード】

犯人の素性も犯行動機も、数時間ではわからない

 トレンドブログの記事はいずれも、新聞記事やテレビのニュース、ワイドショーを元ネタとして作成されるため、ブログ主が自ら取材をして独自の情報を入れ込むなどということは皆無。記事の内容自体は“新聞・雑誌・テレビ”等の大手メディアが発信した情報をそのまま流用したうえ、ツイッターでの感想を無断で貼りつけただけの、お粗末なものだ。貼り付けただけなので未知の情報が得られることはないが、SEO対策に特化しており検索結果上位に上がってくる傾向がある。

 トレンドブログは既存メディアの記者らの努力に丸乗りし、SNSユーザーらの発信情報を無断で流用するといった“丸パクリ”の性質を持つことだけではない。「記事のクリック数を上げる」ために、情報を盛ったタイトル付けや印象操作をしていることは、由々しき問題だ。

 京アニ放火事件が発生してわずか数時間のうちに、量産されたトレンドブログ記事のタイトルは次のようなものである。

「【パクリやがって?】京アニがパクった作品は何?放火魔が怒る理由は?」
「京アニ放火殺人の犯行動機はパクリ!10人死亡者で死刑確定?犯人特定は?」
「京アニ火災の犯行動機はパクリ?犯人は精神疾患のオタク?アニメ関係者の可能性も…」

 ご覧の通り、テレビや新聞記事がまだ報じていない“プラスアルファ”の情報が読めるものと思わせるタイトル付けがなされている。またその“プラスアルファ”のために、まだはっきりしていない真偽不明な情報を、真実であるかのごとくタイトルに入れ込む。

 「犯行動機がパクリ」なのかはわからない。犯人の男は犯行後にそうした言葉を発したことは確かなようだが、動機と断定できることすらできていない状況で「犯行動機がパクリ」なのだと読むこともできるようなタイトルをつける。さらに例示した最後のタイトルに至っては「精神疾患」「アニメ関係者」などという見る者に誤解を与えるキーワードも用いられている。無論、こうした情報は現段階で新聞記事にも見られず、いわば“デマ”といって差し支えない。

 トレンドブログ記事は、アクセス数を集めるという目的のもとで作成されている。読者の関心を引こうとするがゆえに、“先走った偏見に満ちたデマ”、いわゆる「嘘」を盛り込む。これは結局のところ、誤解を生む「嘘」を全世界に流布していることに他ならない。事件当事者の情報を、好き勝手に歪めて広めることそれ自体が、事件に巻き込まれた方々への冒涜だ。

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