その「おかしな指導」とは、こちらのようなもの。一部を公開していきましょう。
ケース1●T市の訪問指導員である助産師より「ロタウイルスワクチンは、型があわないとワクチンを受けても感染してしまう。受けるか受けないかは結局、お母さんが決めること」と説明。その指導を受けた母親は「受けても意味がない」と解釈し、後に小児科で相談した(実際は、ロタウイルスワクチンの予防接種は重症なロタ胃腸炎を95%以上減少させる)。
ケース2●市が開催した離乳食教室で「食事の間隔は3~4時間あけないと胃が大きくならない」と言われる。しかし離乳食後、1時間たたないとミルクを飲まないタイプの子どもだった。食事の合間にミルクを飲んでしまったら胃が大きくならないのか心配になり、森戸さんへ相談した。
ケース3●Z市の訪問指導員である助産師に「体重が増えすぎだからミルクを減らせ。あごに出ている乳児湿疹は、胃に負担がかかっている証拠。ミルクを飲ませすぎ。お母さんも自身も粗食にするべき」と指導された。
まだまだあります、トンデモ指導
ケース4●H市の育児相談にて、子どもの四肢が大理石様湿疹、生え際がM字型、首が右ばかり向く傾向があることから「絶対に舌小帯短縮症※」と言われた(その後森戸さんが診察したところ、何の問題もなかったそう。さらに、その指導では実際に舌をチェックすることはなかったとか)。※舌の裏側にある筋が、生まれつき短いこと。うまく哺乳ができず、成長や発育の妨げになる場合がある。しかし、ここでは本来の舌小帯短縮症ではなく、赤ちゃんになにか問題があるとすべて舌小帯のせいにする人たちが呼ぶもの。
ケース5●H市の訪問助産師が「太りすぎだからミルクを減らせ」と指導。20グラム増えていればいいところ、50グラム増えていたからというのが理由。また、別の母乳相談室では「体重が増えすぎだからミルクを薄めるよう」指導される。某助産院では「体重が増えすぎていると、1カ月健診で小児科医に叱られる」と言われた話もアリ。
ケース6●T市の訪問指導員である助産師が、4種混合、ヒブ、肺炎球菌ワクチンの接種を考えていた母親に、「12月と1月は予防接種してはいけない」と指導した。