「人生100年時代」は本当か 「100年生きる」喧伝で得する業界

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 もうひとつ、厚生労働省が作成した『高校生が知っておくべき将来の話①』というパンフレットを見てみる。このパンフレット(PDF)のプロパティーを確認すると2014年6月に作成されたことになっている。パンフレットには、現在65歳になっている女性と男性が何歳まで生きるのかを推定した数値が掲載されている。

 65歳の女性が70歳まで生きる確率は97%、80歳までは84%、90歳までは49%、そして100歳まではわずか6%だ。つまり、100歳まで生きられる女性は100人に6人しかいない。

 男性は70歳までが93%、80歳までが68%、90歳までが25%、そして100歳までがわずか1%。100人に1人である。つまり、多くの人にとって、「人生100年時代」の現実味は薄い。

「人生100年時代」で得する業界

 では、人々が「自分は100歳まで生きるのかもしれない」と思い込むと得をしそうな者は誰だろうか。まずは保険会社だ。長生きは疾病の確率を高める。しかも働けなくなってからの治療費の負担は厳しい。となれば、保険に入っておこうと思いたくなる。

 次に住宅の建築会社や販売会社だろう。100歳まで生きるとしたら、賃貸を借り続けることは不安だ。一方、購入すれば、ローンが終わってからも長く住めることになる。長く住むのならば、中古より新築を買ったほうが良さそうだとも思いたくなる。

 そして、金融や証券などの資産運用業界も考えられる。長く生きなければならない時代においては、老後の資金不足が最も不安材料となる。そこで、資産運用業界は次のようなロジックで不安を煽り、金融商品の魅力を語る。

 まず、平均寿命が延びればその分の生活費、つまり老後資金が多く必要になってくるという不安だ。しかも、現在平均より多く稼いでいる人たちは、リタイヤ後の生活費も多めに想定するため、「このままではとても足りない!」と不安になる。

 一方、現在あまり収入が多くない人たちは蓄えに回す余裕がないため、やはり「このままではとても足りない!」と思うのだ。

 しかし――と資産運用業界は言う。「日本人の資産は利回りが非常に悪い預貯金で死蔵されてしまっているので、そのままではお金が増えませんよ」と。

 そこで、積極的な資産運用を行う必要があるとして、金融商品の説明を始める。私は投資を行うこと自体を否定はしないが、投資は本来余裕のある資金で行わなければリスクが高すぎる。しかし、資産運用業界は、なけなしの預貯金を投資に回させようとするだろう。

 資産運用会社は、将来に備えてこれだけの金額(利回り)を目指しましょう、と誘う。しかし、「目指しましょう」というのは、「できますよ」という意味ではない。

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