「元気が取り柄」なはずが40代で急な不調に。がむしゃらに働いた先にあった、複数の病気

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ゼロからの再スタートも、続く体調不良

 ベトナムでの生活に疲れ果て、夫を置いて子連れ帰国したマユミさん。両親が家に置いてくれたはいいが、しばらく離れていた日本で美容師の仕事を再開できる当てはなかった。不安が募るなか、体調不良はさらにひどくなった。

「毎日胃も痛いし、動悸も吐き気もする。月経も重くて痛くて、本当に具合が悪い日々が続いていました。仕事を再開しようにも日本の物件はやはりどこも高くて、自分の店を持てるとは思えない。それにたとえ店が持てたとしても、お得意様もいない状態で始めて回るんだろうか、と。子ども二人をどうやって養えばいいんだろうと途方に暮れていました」

 ベトナムでは数カ月先まで予約が埋まるほどの人気美容師だった。だが、体力的にも気力的にも限界で、もう自分は何もできないんじゃないかと精神的にも落ち込んでしまったという。そんな娘の姿を見て、父親はある日こう言ってくれた。

「お前はこれまで外国で自分の力でやってきたじゃないか。今、できないと思ってるのは、本当に能力がないからなのか? そうじゃない。今はただ体の調子が良くないからだろう。お前はちゃんと、自分の決めたことをやってきたし、やれるはずだ。今は私もお母さんもまだ働いているんだから、まずは休んで体を治しなさい」

 それを聞きマユミさんも吹っ切れたものがあった。そうだ、まずはこの体の不調を直そう。ベトナムでは国民皆保険はなく、日本の健康保険にしか入っていなかったため、ほとんど受けられていなかった健康診断を久しぶりに受けた。

「数年前に手術を受けた心臓の不整脈が再発していて再手術が必要なこともわかったし、胃にピロリ菌がいることもわかった。ボロボロですよね(笑)。そりゃ具合が悪いはずだ、と思って。月経痛はひどかったけれど子宮はその時はそれほど数値が悪いわけでもなかったし、心臓の手術は急を要さないということだったので、ひとまずできるところからと胃の治療から始めました」

 体が弱りすぎていたためか、ピロリ菌除菌のための抗生物質も一度では効かず、半年以上かけて三度の処置をして、ようやく少しずつ体調は良くなっていった……ように思えていた。

 実家で療養していた時、古くからの友人が「持ち家である古民家の一室を安く使って美容院を開けばどうか」と話を持ちかけてくれた。

 古民家は駅から遠く、住宅街にあるからきっとそれほど多くの客は見込めない。けれど体調を優先して、前ほど忙しくせず、子どもとも向き合いながら自分のペースで美容師ができるサロンを開こう。そう決めたマユミさんは、友人の好意で安く貸してもらった古民家の小さなスペースをDIYで改装し始めた。

 ようやくこの先の見通しが見えてきた矢先、激しい月経痛に襲われ、マユミさんは倒れた。

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