離婚を決意していたのに…ボロボロになって気づいた家族の意味

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病いと子供と私

 20代前半でベトナム人男性と結婚し、二女を産み育ててきた美容師の渋谷マユミさん。数年前に長年のベトナム暮らしにピリオドを打ち、夫を置いて三人で帰国したのは、離婚の危機があったからだった。

 しかし帰国後、立て続けに体の不調が発覚し、子宮と卵巣の一部を切除する手術を受けた彼女が、改めて感じた家族観とは。

「元気が取り柄」なはずが40代で急な不調に。がむしゃらに働いた先にあった、複数の病気

 知人の中でも飛び抜けて明るく元気な人がいる。そして波乱万丈な人生を歩んでいる人が。東京立川市で古民家を改装したヘアサロンを営むマユミさん(43歳)だ。…

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離婚を決意していたのに…ボロボロになって気づいた家族の意味の画像2 ウェジー 2019.08.03

「パパと離婚したら、ママを許さないから」

 子宮繊筋症と卵巣チョコレート嚢胞の手術後、服用していたホルモン剤の副作用で全身に蕁麻疹が出て苦しんだマユミさん。ベトナムで自分の店を持ち経験を積んできた美容師として、日本でも新たなチャレンジをしようとした矢先の病気だった。

 帰国してすでに一年が経過していたが、ベトナムにいる夫とはほとんど連絡を取っていない状態。しかし離婚を決意して帰国したものの、籍は入れたままだったという。

「私の気持ちとしては、もう一緒にいられないな、と思っていたんです。でも娘たち、特に次女は大のパパっ子で、あるとき『パパとママが離婚したら、私ママを許さないから』って言われたこともあって。その時は『え、ママを許さないってどういうこと? 私が悪いの?』って思ったんですけど。でも確かに子どもにとっては大切な父親で、すぐには離婚できずにいたんです」

 国際結婚の場合、離婚は双方の国で手続きをする必要がある。ベトナムでの離婚手続きは、婚姻家族法に則って、裁判離婚が必要だ。たとえ互いに同意していても協議離婚はできず、裁判所が関与しないといけない。

「そうした手続きもやっぱり大変すぎて。それも離婚をしていない理由の一つだったかな。日本で離婚届を出せばいいだけだったら、していたかも(笑)」

 時々、連絡を取る夫には、手術の報告だけはしていた。すると夫からは、彼の父親の再婚相手が急に癌で亡くなってしまった、という返事がきた。

「お葬式の映像が送られてきて。元気な女性だったので驚いて。『(伴侶をなくして)お義父さんは大丈夫?』って連絡をしたんです」

 思いがけず久しぶりの会話だった。

「父はすごく悲しんでる。奥さんを亡くして泣いている父を見てて思った。僕はあなたを失ったら生きていけない。手術が何事もなくうまくいって本当に良かった」

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