連載

戸籍を改名して虐待の記憶から逃れた。11の自宅と、母の恋人

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“あの部分”に触るのは、恥ずかしいこと?

 Mは、父を家族と思ったことがないと言う。

「父は、いつも『お前はバカでクズだ!』とか『誰もお前を好きにならない』とか、小学生レベルの言葉で怒鳴ってきました。ボクが母に会いたくて泣いてたり、ちょっと友だちとケンカしたときとかが多かったと思います。批判されるのは、身体の障がいではなく、性格的なことでしたね」

 一方、母の2番目の恋人はやさしかった。ただ、それには裏があった。

「(自慰行為の)やり方をネットで知って、夜中にパジャマの上から胸やおまたの部分を触っていたんです。そしたら、それを止めずにニヤニヤ笑いながら見てきました。当時はそれが“人前でやってはいけないこと”なんて、知らなかったので……。さすがに電車の中や学校の教室では恥ずかしいと思っていましたが、家の中ならちょっとわからないところがありました。無理やりキスをされたこともあります」

 男の家に泊まるときは、母と男がそれぞれ寝ている布団の間にMは横たわる。当時12歳、「心は男の子だ」と感じていたMだったが、肉体だけをみれば発育途上の女の子だ。

 そんなとき、母は「隣で眠っていた」とMは言う。

※知的障がいのない小学6年生が、人前で性器を触ることに抵抗がないことに、違和感を覚える人も多いだろう。筆者も話を聞いていて疑問を持った。子どもたちにとって性の情報源が、成人向け雑誌――いわゆるエロ本やアダルトビデオから、ネット動画などへ移ったことにも原因があるのか。実体のある本やビデオは人目を忍んでこそこそと買ったり、友人同士で回し合ったりしたものだが、ネットは誰にも見られずクリックひとつで閲覧することができる。この謎については、性教育の専門家に解説をお願いしたので別稿にて後述したい。

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