ついにトランプを「レイシスト認定」した米国メディア

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 アメリカのメディアがトランプをはっきりと「レイシスト」と呼び始めた。トランプが、自身の移民政策を批判するイライジャ・カミングス議員を攻撃する際、同議員の地元であるメリーランド州のボルティモアを「ネズミがはびこる」「どんな人間もあんな場所には住みたがらない」と侮辱したためだ。

 カミングス議員はアフリカン・アメリカンだ。ボルティモアの住人も6割以上を黒人が占める。CNNのジャーナリスト、ヴィクター・ブラックウェルは番組内でトランプのツイートを批判し、「私もボルティモア出身です」と途中で涙ぐみ、言葉を詰まらせた。ブラックウェルもまた、アフリカン・アメリカンである。

 トランプのレイシスト発言の多くは日本も含め、他国ではそれほど報道されない。あくまで米国内の問題であり、外交問題のように他国に影響しないと捉えられるからだ。しかし、一国の大統領が自国の人種民族マイノリティをどう扱っているか、どれほど「レイシスト」であるか、これは世界中が知っておくべきことだ。

「自分の排泄物の中に座っている」移民収容所の子供たち

 ことの起こりは7月18日。常々批判されてきた、アメリカとメキシコの国境に大量に作られた移民収容所の最悪の状態について、国土安全保障省の長官代理が公聴会で証言を行った。正規の長官は国境における移民政策と収容所について4月にトランプと会談し、その際に辞任。あれから4カ月近く経つ現在も後任は任命されておらず、代理長官のままとなっている。トランプ政権下における収容所の状態があまりにも酷く、誰もその責任を負いたがらないのである。その長官代理が「収容所の状況は良い」と証言。これに対し、カミングス議員が激昂した。

「子供たちが自分の排泄物の中に座っているんだ!!」
「あの子たちは人間だ!!」

「ネズミがはびこる」都市

 公聴会から9日も経った7月27日の早朝、トランプは唐突にカミングス議員を攻撃するツイートを3連投した。

「カミングスは国境を批判したが国境は清潔で、カミングスの地元ボルティモアのほうが危険」「ボルティモアはアメリカで最悪」「ネズミがはびこる」「どんな人間も住みたがらない」「カミングスは危険で衛生状態の悪い地元を掃除するのを手伝え」

 このツイートを読んだトランプ支持者がボルティモアの荒廃した様子を写したビデオ2本をツイート。トランプは2本をリツイートしている。

 今回のツイートで特に問題視されているのが「infested」(インフェステッド)という単語だ。一般的には害虫(ゴキブリ)、害獣(ネズミ)が繁殖している様を表す。この単語を、大統領がアメリカの一都市に対して使ったのである。

 もっとも、トランプの言語能力の貧しさも表れている。トランプは「ネズミ(rat)とげっ歯類(rodent)がはびこっている(infested)」と書いている。ネズミはげっ歯類の一種であり、無駄な二重表現である。

カメラの前で泣いたジャーナリスト

 トランプのツイートには激しい非難が寄せられたが、中でもCNNのキャスター、ヴィクター・ブラックウェルの反応は見る者の心に突き刺さった。

 トランプのツイートから3時間後、ブラックウェルは自身の番組の中でコメントを発した。ブラックウェルは「 “infested” は一般的にはげっ歯類と昆虫に対して使われるが、トランプは黒人などマイノリティ(black and brown people)に使う」とし、過去のトランプ発言を引用した。

●今年7月、4人の女性マイノリティ議員に「犯罪がはびこる(infested)自国に帰れ」。
●2018年、ビザ無し移民に寛容な “聖域都市” は「犯罪がはびこる(infested)」。
●2017年、大統領選の結果について語ったジョン・ルイス議員(アフリカン・アメリカン)に対し、「犯罪がはびこる(infested)地元をなんとかしろ」。
●2014年、「なぜ米兵をエボラがはびこる(infested)アフリカに派兵する!オバマは馬鹿者だ」。

 ブラックウェルは「トランプ大統領は言いました。カミングス議員の地元は……」と続けたが、ここで感情が押し寄せ、口をつぐんでしまった。長い沈黙の後、明らかに涙ぐみながら以下のように続けた。

「どんな人間も住みたがらないと言いました。大統領、誰が住んでいたかご存知ですか? 私です。生まれた病院から自宅に戻った日から、大学のために家を出た日まで。そして、私が大切に思う人々は今もボルティモアに暮らしています」

「ボルティモアが(貧困や犯罪など)困難を抱えているのは疑う余地がありません。しかし、人々は自身のコミュニティを誇りとしています。身贔屓に思われたくはありませんが、人々は毎朝起きて仕事に向かいます。家族を大切にします。自身の子供たちを愛しています、あなたを支持する議員の地元に暮らす人々と同じく、国旗に忠誠を誓う子供たちです」

「彼らもまたアメリカ人です」

 ブラックウェルは、これ以上は涙がこぼれ落ちるのを止められないといった様子で顔を背け、コマーシャルに切り替えた。

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