
日産自動車ホームページより
日産の業績が垂直落下している。2019年4〜6月期の決算は営業利益が99%減と、赤字転落ギリギリという結果だった。同社の西川社長は、前会長のカルロス・ゴーン氏を追放した中心人物だが、内紛に明け暮れている間に、業績はボロボロになってしまった格好だ。西川氏は仏ルノーとの統合についても難色を示してきたが、その結果が1万2500人の大リストラだったという現実は重い。
業績悪化はゴーン路線のツケではない
日産自動車が7月26日に発表した2019年4〜6月期の決算は驚くべき内容だった。売上高は前年同期比12.7%減の2兆7372億円、営業利益は何と99%減の16億円だったからである。ゴーン氏を完全追放し、新体制で臨んだ最初の決算が、赤字ギリギリというのはいったいどういうことなのか。
一部メディアは「ゴーン氏による拡大のツケ」といった見出しを掲載しているが、客観的な報道とはいえないだろう。ゴーン氏が逮捕されたのは昨年の11月であり、そこからすでに8カ月が経過している。2018年10〜12月期の決算では、売上高は前年同期比で0.6%のプラス、営業利益は13.9%のマイナスにとどまっており、大幅な落ち込みは見られない。
業績悪化の最大の要因は、今年に入って中国を除くすべての地域で販売台数が大きく落ち込んだことである。日本は2.6%減、北米は6.3%減、欧州は16.3%減、トータルでは6%減と惨憺たる状況だ。中国だけが2.3%増と何とかプラス成長を維持している。
特に影響が大きかったのが北米市場である。自動車メーカー各社にとって稼ぎ頭は米国市場であり、北米市場で売り上げを伸ばすのは共通の戦略だった。販売店に支払う奨励金を削減した結果、台数が予想以上に落ち込み、利益を大きく減らす要因となった。北米依存は日産だけの話ではなく、主要メーカーはすべて似たような状況であり、これを無理な拡大路線と評価するなら、トヨタも同じになってしまう。
ちなみに、同じくゴーン氏が舵取りをしていた日産の親会社であるルノーも業績が伸び悩んでいるが、日産と同日に発表した2019年1〜6月期の決算はまずまずの内容だった。
99%もの減益となった日産に対して、ルノーの営業利益は14%減にとどまっている。子会社である日産の業績がルノー本体にも反映されるため最終利益は50%減だったが、本業は何とか前年並みを維持した。もしゴーン氏の拡大路線のツケで日産の業績が悪化したのであれば、ルノーも同じような結果になっていたはずだがそうではない。