
『ポイズン・ママ』著者の小川雅代さん、その後
不詳ワタクシ、機能不全家庭育ちです。親から子への愛って、一体なんなんでしょうね……? 幼いころから胸に抱いてきたもやもやを整理すべくカウンセリングに通いつづけ、10年ほど経ったとき出会ったのが小川雅代さんの『母・小川真由美との40年戦争 ポイズン・ママ』(文藝春秋)でした。
毒親育ち女性の「その後」。向かない職業ばかり就いていた/小川雅代さんインタビュー
その女性は、ピラミッド型のスタッズで飾られたリングとブレスレットをまとって現れました。光る金属に私はそっと指で触れます。痛くない。スタッズは使い込まれ…
それまでは自分と似た境遇の人の言葉に触れたくても、日本で出版される本は、儒教の影響でしょうか、幼年期に受けた虐待をほのめかすにとどまるものや、最終的に「親とは和解して仲よくやっています」という結末に至るものばかりでした。「子どもを愛さない親はいません」という社会通念に反するものを発信することは、とんでもないタブー。という社会からのメッセージを当時私は感じていました。けれど私が日々向き合わねばならない現実は、「どれだけ子どもの側から真心や愛情を尽くしても愛情を返さない親もいる」というもの。そのようなメッセージを感じつづけながら生きるのはとても歯がゆく、寂しいことでした。
毒親から抜け出し、生き抜く
「ポイズン・ママ」は親からの虐待の現実を淡々と、しかもハッピーエンディングなしに当事者がつづった本です。そのような日本の本を読むのは初めてでした。
「私はひとりじゃなかった! 時代はこれから変わるんだ!」
という衝撃と手ごたえを感じたのを覚えています。
そんな時代の先駆者である著者・小川雅代さんにうかがう、虐待家庭から抜け出したあとに生き抜くヒント、後篇は「幸せになる方法」です。
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ーー小川さんは持病はあるけど家族のサポートはないなか、ずっとお仕事を続けながら強く生きてこられましたが、逆に「死んじゃおっかな」と思うときもあったんでしょうか。
小川雅代さん(以下、小川):死にたかったこと、多いですよ! だってそういうふうにプログラミングされてるんだもん(笑)。母から「お前は不幸になる、お前は男運が悪い、これは遺伝だから絶対受け継ぐ」って呪文のように毎晩いわれてましたから。呪いです(笑)。
ーー呪いをかけられても生きつづけるコツを教えてください。
小川:大げさなことじゃなく「今度好きな漫画の新刊が出るから」とか「この前買った化粧品まだ使ってないから」とか、ちょっとしたことがつないでくれることもあります。ほかには音楽と猫のおかげで生きてこれましたね。