7月後半に人気DJグループでYouTuberの「レペゼン地球」のメンバー・DJ社長氏が、自身の事務所に所属する新人タレント・ジャスミンゆま氏にセクハラ・パワハラを告発されましたが、それは虚偽で、新曲のための炎上プロモーションだったと明かしました。この企画には多くの人が関わっており、コラムニストの妹尾ユウカ氏も「ジャスミンからセクハラについて相談を受けていた」と虚偽の告発に加担しており、動画にはロックバンドのマキシマムザホルモンが出演しました。
レペゼン地球とジャスミンゆまの炎上プロモーションは“SNS上の告発”信憑性を激しく貶めた
人気DJグループ兼YouTuberグループ「レペゼン地球」のメンバー・DJ社長が、自身の事務所に所属するタレント・ジャスミンゆまと共にセクハラ・パワハ…
レペゼン地球に対して「天才!」など称賛の声が多くかけられ、ジャスミン氏に批判や中傷が集中するという状況を見て私は驚き、同時にこの騒動をこのまま有耶無耶にしたくないという気持ちになりました。今回は「セクハラをネタにすること」やセカンドレイプなど、この騒動に関わる問題を考えていきたいと思います。
性暴力被害の矮小化と、セカンドレイプの助長
レペゼン地球は楽曲チャンネルと併せて200万人以上の登録者数を持ち、動画を出せば100万再生を越え、最も再生数の多い動画は1000万再生以上を獲得しています。騒動後もオリコンでの動画再生数ランキングでメジャーアーティストを抑え10位になるなど、影響力の強いグループであることがわかります。
まず最初の問題点は、彼らが行った「虚偽のセクハラの告発」は、セクハラをはじめとした性暴力の告発の信頼性を損なうものであったということです。今後ほかの誰かが被害を告発しても「ネタでしょ?」といわれる危険があります。特に性暴力については、その他の被害以上に「嘘なんじゃないか」と被害自体を信じてもらえなかったり、「お前が悪かったんじゃないか」と責任を被害当事者に押し付けられるセカンドレイプが多く起きます。セカンドレイプは軽く見られがちですが、私自身、性被害そのものよりもセカンドレイプに傷つき苦しんだと感じますし、多くの当事者もセカンドレイプにより追い込まれていったと話しています。
近年、性暴力の被害をインターネット等で告発する #Metoo 運動が行われています。たしかにネット上での告発の真偽を確かめるのはむずかしいことです。ネットにかぎらず、性暴力が起きたこと自体が信じられない現状では、訴えることもまたむずかしく、さらに多くの性暴力が犯罪として認められないということが実際に起きています。切実な状況だからこそネット上での告発が行われているのです。そんななかで、このように影響力のあるグループが虚偽の告発をし、関心を引くためだけにセクハラを「ネタ」として扱うことは、性暴力被害そのものの矮小化であり、セカンドレイプを助長しかねないと感じます。