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女子中高生読者に「我慢しないで」と説く「Seventeen」上野千鶴子の悩み相談企画は、なぜ斬新だったのか

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「Seventeen」(集英社)2019年9月号

 女性ファッション雑誌「Seventeen」(集英社)2019年9月号に掲載された悩み相談コーナーに社会学者の上野千鶴子氏が登場したことが話題となっている。

 上野千鶴子氏といえば、女性差別がはびこる日本社会の現実を指弾したうえで、入学生たちに向かってその力を弱者救済のために使うよう語った東京大学入学式での祝辞が話題となったことも記憶に新しい。

 「女性学のレジェンドがST参上!! 上野千鶴子先生×花恋×ST読 お悩み相談室」とタイトルをつけられたこの企画では、「Seventeen」専属モデルで女優の大友花恋と、「Seventeen」読者の3人が聞き役となって、上野千鶴子氏が読者から寄せられた悩み相談に回答している。

上野千鶴子が「Seventeen」読者に送った斬新な回答

 「Seventeen」読者から寄せられた悩みは普遍的なものだ。進学や将来の仕事について、家庭について、理不尽な校則について、身体的なコンプレックスについて、友人関係について──悩み自体は青春時代に誰もが抱くいたって一般的なものばかりである。

 しかし、それに対する上野千鶴子氏の回答は、こういった雑誌のお悩み相談コーナーではなかなかお目にかかれないものだった。

 たとえば、<女子はグループに属していないと、学校で居場所がない。ひとりでいると「変わってる」とかヤバイ人扱いされます>という友人関係について寄せられた悩みに対して上野千鶴子氏は、自分がつらい思いをしてまで友人関係を続ける必要はないと断言する。

<友達なんていつでも捨てられるし、必要ならまたつくれるもの。いなくなっても悲しくない友達は、友達とは呼ばない!>

 また企画の別のところでは、「男子に比べて女子のほうが孤立を恐れる」という傾向に対して、ジェンダー論の見地からこのように語っている。

<男子に比べて女子のほうが孤立を恐れる理由に、“女らしさ・男らしさの社会化”を受けていることがあげられるの。簡単に言うと、『男はこうあるべき、女はこうあるべき』という規範のすり込みね。そのなかで女の子は、「人に愛されなければならない、人と円満な関係を結ばなければならない」という教育を、男の子よりもたくさん受けているの。知らず知らずにね。だから人間関係への関心がより強いし、悩みも多い>

 女性たちに人間関係の悩みが尽きないのは、社会がジェンダー規範を押し付けていることが原因であり、「友達とうまく付き合えない」と自分自身を責める必要はない。他方、ティーン女子に向けた雑誌メディア自体が、女性たちに「人に愛されなければならない、人と円満な関係を結ばなければならない」と押し付ける張本人でもある。だからこそこの企画は“斬新”といえる。2019年のいまでも、だ。

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